大日本住友・多田社長 国内重点品不調ならMR減員も視野
公開日時 2015/05/12 03:52
大日本住友製薬の多田正世社長は5月11日、2015年3月期(14年度)決算発表会見で、降圧配合薬アイミクスや抗精神病薬ロナセン、抗パーキンソン病薬トレリーフの国内重点製品が不調であれば、MR体制を「縮小していくことも考えざるを得ない」との考えを明らかにした。
同社は、国内事業で営業の効率化を進めている。販管費を対12年度実績比で15年度に50億円削減するとした目標を14年度に達成したが、15年度も続け約4億円を削減する。一方、1350人のMRとeプロモーションを組み合わせ、15年度はアイミクス、ロナセン、トレリーフに重点的に営業リソースを配分し、展開する方針。
その上で中期的な国内MR体制について多田社長は「国内事業では長期収載品は大幅に縮小している。MRは長期収載品のプロモーションを基本的にはしていないが、コストはコストであり、ロナセンやアイミクスなどで今の体制を維持するだけの拡販ができないとなると、経営の効率、必要な利益の確保ができなくなる。経営的に考えて、それ(MR数)をある程度縮小していくことは考えざるを得ない」と表明。今後、他の製品も含めた売上とコストとの見合いで「利益が残る状況で、効率が上がるのなら、(MR体制を)維持することもあると思う」と述べたものの、続けて「しかし、傾向としては、他社がやっているように、弊社も必要に応じて減らしていく」ことはあり得るとの姿勢を示した。ただし「何百人単位で減らすという考えは今の時点ではない」と付け加えた。
14年度業績 国内売上8.9%減 薬価改定と長期品の減少が影響
その方針にある同社だが、2015年3月期(14年度)決算で国内売上高は、薬価改定に加え、主要な長期収載品売上が軒並み2桁減となった影響により1565億6400万円、8.9%減となった。日本セグメントの利益は505億7100万円。16.9%減だった。
15年度は重点3製品に営業リソースを集中。特に最重点領域である精神神経領域には、競合他社の営業リソース配分や利益率の高さから、ゼネラルMRの約100人を同領域担当MRに移して330人体制を敷き、ロナセンの拡販などで強化を図る。しかし、主要な長期品の減収などで、国内予想売上高は約1億円増の1567億円で、北米での予想売上高の1668億円を下回る見込み。
統合失調症薬として開発していたルラシドンの国内承認申請を当面見送り、武田薬品と欧州での同剤の開発・販売契約解消したことについて多田社長は「ピンチであることは間違いない」としたが、中期的な影響はまだ検討していないとした。統合失調症薬としての国内申請については「やめたという結論にはなっていない。前向きに検討しようと考えている」と述べた。17年度までの中期経営計画の数値目標も「見直す計画はない」と強調した。
【14年度連結業績(前年同期比) 15年度予想(前年同期比)】
売上高3713億7000万円(4.2%減) 3920億円(5.6%増)
営業利益232億7500万円(44.8%減) 270億円(16.0%増)
経常利益233億3100万円(42.6%減) 265億円(13.6%増)
純利益154億4700万円(23.0%減) 180億円(16.5%増)
【14年度の国内主要製品売上(前年同期実績) 15年度予想、億円】
アイミクス120(69)175
アバプロ114(121)115
ロナセン115(126)130
トレリーフ116(95)152
(以上戦略品)
メトグルコ171(158)140
シュアポスト24(17)37
アンビゾーム43(48)49
ミリプラ9(12)10
リプレガル97(98)110
アムロジン196(270)170
ガスモチン105(150)83
プロレナール106(135)91
メロペン79(98)68
エバステル39(44)32