アステラス・14年度業績 国内医療用薬売上6.6%減 前立腺がん薬イクスタンジは好調
公開日時 2015/05/12 03:51
アステラス製薬は5月11日、2015年3月期(14年度)決算を発表し、国内医療用医薬品は売上4817億円、前期比6.6%の減収だった。14年5月に新発売した前立腺がん治療薬イクスタンジが149億円を売り上げるなど伸長した新薬もあったが、高脂血症治療薬リピトール、入眠薬マイスリー、統合失調症治療薬セロクエルなど長期収載品が薬価改定やジェネリック(GE)の影響で2~3割の減収となったことが国内業績に大きく響いた。消炎鎮痛薬セレコックスや喘息治療薬シムビコートに14年4月の消費税増税前の駆け込み需要(仮需要)がみられ、これら新薬も14年度に減収となったことも影響した。
14年4月に新発売したSGLT2阻害薬スーグラは売上41億円、15年度の売上目標は110億円に設定した。同社によると、スーグラの14年度売上は当初計画よりも下振れしたという。ただ、この要因は、「SGLT2阻害薬のクラス全体で慎重投与の傾向がみられた」ため。15年度の売上目標の設定にあたっては、「当社としては適切な情報提供活動を行う。そしてSGLT2阻害薬本来の位置付けにあった処方がどんどん増えるだろう」とし、「スーグラは先行発売しており、圧倒的に(金額、数量の)シェアは首位。今後もナンバーワンの地位は維持するとの前提で、売上予測をたてた」としている。
SGLT2阻害薬をめぐっては14年度に、日本糖尿病学会から適正使用の注意喚起が発出されたほか、各種SGLT2阻害薬の市販直後調査で重篤な皮膚障害や死亡例がみられた。
■疾患領域別売上 がん領域がトップに
海外事業を含む連結業績は増収、2ケタ増益だった。この好業績は、特にイクスタンジがグローバルで好調だったことによるもので、同剤の14年度グローバル売上は1372億円だった。これは前期の売上546億円から約2.5倍となる。イクスタンジの急成長によって同社の疾患領域別の売上は、がん領域2084億円(前期1202億円)、泌尿器領域1884億円(同1620億円)、移植領域1947億円(同1811億円)――となり、がん領域が初めてトップになった。15年度の領域別の売上目標は、がん領域は開示していない。泌尿器領域はベタニス・ファミリーの伸長を見込んで2122億円に設定、移植領域はアジア・オセアニア地域で伸長させて1926億円と設定した。なお、日本では今後、がん専門MRを設けることも検討していく。
【14年度連結業績(前年同期比) 15年度予想(前年同期比)】
売上高1兆2472億5900万円(9.4%増)1兆3620億円(9.2%増)
営業利益1856億6300万円(59.0%増)2380億円(28.2%増)
税引前利益1896億8300万円(55.5%増)2390億円(26.0%増)
純利益1358億5600万円(49.5%増)1700億円(25.1%増)
【14年度のグローバル製品売上(前年同期実績) 15年度予想、億円】
プログラフ 1947(1811)1926
ハルナール 560(595)537
ベシケア 1352(1338)1329
ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ 531(282)793
ファンガード/マイカミン 388(361)406
プロトピック 217(250)137
イクスタンジ 1372(546)2294
エリガード 190(183)181
【14年度の国内主要製品売上(前年同期実績) 15年度予想、億円】
プログラフ(グラセプター含む) 481(504)499
ハルナール 150(202)129
ベシケア 256(307)264
ベタニス 148(116)230
ファンガード 118(123)122
イクスタンジ 149(-)230
リピトールファミリー 469(624)306
(内、カデュエット) 102(107)非開示
(内、リピトール単剤) 367(517)非開示
ミカルディスファミリー 957(976)1052
(内、ミコンビ) 107(118)非開示
(内、ミカムロ) 238(214)非開示
(内、ミカルディス単剤) 612(644)非開示
ガスター 180(257)151
マイスリー 194(282)181
セロクエル 126(196)106
ワクチン 388(350)424
セフゾン 51(64)45
セレコックス 418(443)496
ジェニナック 104(117)104
ボノテオ 130(141)144
シムビコート 330(356)381
アーガメイト 59(61)64
キックリン 15(14)22
ゴナックス 34(25)42
シムジア 50(32)75
スーグラ 41(-)110