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サノフィ Viebacher CEOを突然解任

公開日時 2014/11/05 03:50

仏サノフィ社は10月29日、同社取締役会が、Cristopher Viebacher CEOを全会一致で解任したと発表した。同社は、Viebacher前CEOには2008年からの6年間の実績に謝意を表したが、解任の理由については同日の発表では公式には明らかにしていない。しかし、同社Serge Weinburg会長による別途会見などの発言をみると、同社取締役会とViebacher前CEOの経営方針に乖離が見られたことや取締役会との関係悪化があったことが浮き彫りにされた。


同社は、CEO職と会長職の分離は今後も継続するとして、新CEOが就任するまで、Serge Weinburg会長がCEOを兼任する。今回の突然の解任は業界筋を驚かせたが、ロイター通信、ブルームバーグ通信、医薬専門誌「Fierce Pharma」など外電を総合するとWeinburg会長は、Viebacher氏が「独善的すぎた」と指摘しており、同氏のワンマンぶりが取締役全員の反発を買ったといえそうだ。


さらに今回の解任の背景には、そのような独善ぶりのほかに以下のような面も影響しているようだ。Viebacher前CEOは、ドイツとカナダ2か国の国籍を持ち、サノフィにとっては、はじめての非フランス人CEOだった。同氏は、同社のフランス国内の研究所から医薬候補物質が生まれにくいことから、同研究所を批判、米国ケンブリッジの研究所に力点を置いた。また、業務合理化の一環としてフランスにおける人員削減では、組合はもちろん、削減を控えめにして雇用確保を求めるフランス政府ともぎくしゃくした。また、同氏が、居住地を子息が米大学に入学するので今年6月に米国ボストンに移転させたことも反発を買ったとも指摘されている。


今回の解任では、Weinburg会長は、サノフィの全株式の9%を所有する化粧品会社L’Oreal社など大株主と定期的に接触、Viebacher前CEOの経営戦略に対する懸念を共有し、解任について根回しをしていたという。さらに、すでに後任者も探し、英アストラゼネカ社のPascal Soriot CEOに打診したと伝えられている。Soriot CEOは関心がないと答えたという。


Pascal Soriot CEOは、フランス人で、サノフィの前身Aventisに在籍していたことがある。ブルームバーグ通信によると、Sanofiは、新CEOにはフランス人にこだわっているようで、候補には、医療機器会社Smith & Nephew社のOliver Buhon CEO、ベルギーのUCB社のRoch Doliveux CEOがおり、いずれもフランス人。


ロイター通信によると、証券会社Senkos Securitiesのアナリスト、Navid Malik氏は、「Viebacher氏は、サノフィのDNAを変えようとしたが、結局は取締役会が勝ってしまった。サノフィは今後(ビジネス展開上)視野が狭くなるかもしれない」と話し、サノフィが国際展開を継続する方針に変更ないとしているものの、それに影響が及ぶ恐れがあるとの見方を示した。フランス国内でのR&D強化やフランス市場重視に向かうのではないかとの考えだ。


Viebacher氏は、米ジェンザイム社買収を成功させ、希少疾病分野を充実させると同時にグローバル化の推進を図ったが、その十分な成果を見ずにサノフィを去ることになった。


 

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