【World Topics】週末の手術はハイリスク
公開日時 2014/08/04 03:50
週末に手術を受けた子どもは、ウィークデイに受けた子どもに比べ、盲腸の除去やヘルニアなど比較的簡単な手術とみなされる手術でも、合併症をおこすリスクが高く、また死亡率も高いことが、ジョンズホプキンス小児センターの医師らの調査で明らかになった。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
“The Journal of Pediatric Surgery” 7月号に掲載された論文では全米各地の小児医療機関の過去22年間の患者記録から抽出された44万人(ウィークエンド患者:11万2000人、ウィークデイ患者:32万7000人)の患者データの分析結果の報告。概要がジョンズホプキンス大学のホームページに公開されている。
http://hopkinschildrens.org/Weekend-Emergency-Surgeries-Deadlier-for-Children/
合併症の発症率は全体の約1%、死亡率は0.1%以下で、実数としては多くはないものの、性、年齢、人種、手術種別をコントロールした後で、なお、週末に手術を受けた小児患者はウィークデイに手術を受けた患者よりも、たとえば死亡率が63%、緊急輸血率が14%高かった。
ジョンズホプキンス小児センターの医師らはこの現象を”Weekend Effect”(週末現象)と名付け、リスクファクターについてのさらに精緻な研究が、手術中はもとより術後の処置をふくめてなされる必要があると提言している。
論文では週末現象の原因については言及していないが、ジョンズホプキンスのウェブサイトには、週末のスタッフ配備、検査体制などがウィークデイに比して手薄になりがちなこと、ERの対応に時間がかかること等が究明されるべき点として示唆されており、研究者らは原因を究明するための研究にとりかかる予定だ。
オバマケアで電子化が義務づけられた診療データ/支払い償還データの全米レベルでの解析が各地で始まっている。