SGLT2阻害薬 使用患者の約6割 他の経口血糖降下薬に追加 JMIRIまとめ
公開日時 2014/08/04 03:51
調剤レセプトベースで実際の処方状況を把握・分析する医療情報総合研究所(通称JMIRI)によると、新規機序の経口血糖降下薬であるSGLT2阻害薬の使用患者の6割近くが、DPP-4阻害薬など他の経口血糖降下薬に追加して処方されていることがわかった。SGLT2阻害薬の新規患者への処方は1割強、既存の経口血糖降下薬からの切替処方は約3割だった。
これらの結果は今年5月の処方状況を分析したもの。SGLT2阻害薬は今年4月にスーグラ(一般名・イプラグリフロジン)が、5月にフォシーガ(ダパグリフロジン)、ルセフィ(ルセオグリフロジン)、テベルザ/アプルウェイ(トホグリフロジン)が相次ぎ発売された。5月発売の製品はいずれも23日に発売されていることもあり、今回の分析結果は、ほぼスーグラの状況となる。
追加処方の内容を詳細にみると、追加元の薬剤はビグアナイド系薬が27%と最も多く、次いでDPP-4阻害薬とSU薬が各21%、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)が13%――となっている。追加元薬剤はおおむね経口血糖降下薬の中でも処方数量の多いクラスの薬剤で、ある意味で当然の結果ともいえる。一方で、切替元となった薬剤は割合の高い順から、DPP-4阻害薬(26%)、α-GI(16%)、チアゾリジン系薬(14%)、SU薬(12%)――だった。
◎使用患者の半数が60歳未満
糖尿病治療薬の多くがインスリンにフォーカスした薬剤なのに対して、SGLT2阻害薬は尿中のブドウ糖の再取り込みを抑制し、糖の尿中排泄を促進することで血糖値をコントロールする新しいアプローチの薬剤。特徴のひとつに体重減少がみられ、口渇や脱水などの症状を伴う体液量減少などに注意が必要となる。このため、販売各社や専門医は肥満傾向の若年者への投与を推奨している。
今回のJMIRIの分析で、SGLT2阻害薬の処方患者の年齢をみると、5月時点で60歳未満が約半数を占めていた。経口血糖降下薬の中で処方数量が最も多いDPP-4阻害薬の60歳未満への処方割合は33%である。調査時点では販売会社や専門医の推奨通りに処方されていたといえるだろう。
詳細はMonthlyミクス8月号(8月1日発売)の連載「医師の処方動向をよむ」に掲載している。ミクスOnlineでは有料会員向けに公開中。アドレスは、こちら。