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帝京大・寺本氏 ハイリスク脂質異常症患者の目標未達が4分の3 PCSK9阻害薬の登場に期待

公開日時 2014/07/24 03:51

帝京大学臨床研究センターの寺本民生センター長(写真)はこのほど、脂質異常症に関するメディア向けセミナー(サノフィ主催)で講演し、治療目標未達者が多いハイリスク脂質異常症患者に対する新たな治療選択肢として、製薬各社が開発しているPCSK9阻害薬に期待を寄せた。同氏は治験での経験から「LDLコレステロール(LDL-C)値で60~70%の低下作用を認めている。スタチンに比べても効果は非常に強く、期待が持てる」と話した。

 

寺本氏らが行った脂質異常症患者を対象とした国内調査によると、心筋梗塞既往など二次予防の段階でガイドラインにある治療目標値LDL-C100mg/dL未満を達成している頻度がわずか16%、糖尿病合併などのハイリスク患者でも目標値120mg/dL未満の達成率が4分の1にとどまる。

 

寺本氏はハイリスク患者で治療目標未達者が多い背景として、▽副作用を懸念して薬剤の増量を避ける傾向がある▽500人に1人程度の割合で存在するとされる家族性高コレステロール血症(FH)の診断率が低い▽標準薬として用いられているスタチン製剤服用後にクレアチンキナーゼ(CK)値が上昇したり筋肉痛様の症状が現れたりする不耐容例が少なくない――ことなどを挙げた。さらに、スタチン製剤にはLDL受容体を分解するPCSK9の合成を高める作用があり、十分な治療効果が得られない一因になっているとも説明した。

 

LDL-C高値例では20~30年かけて心血管疾患の発症に至るとされるが、FHやハイリスク患者では若年での致死性イベントも少なくない。寺本氏は、こうした患者への治療がアンメットニーズとして残されていると強調し、新たな治療選択肢となる可能性があるPCSK9を標的とした抗体医薬への期待感を示した。国内ではalirocumab(サノフィ)、evolocumab(アステラスアムジェン バイオファーマ)が臨床第3相試験の段階にあり、日本イーライリリーやファイザーも開発に着手している。

 

PCSK9阻害薬の治験では、対象患者がFHや二次予防患者、ハイリスク患者とさまざまに設定されているほか、心血管疾患イベントの発症抑制効果を見るアウトカムスタディが組まれている。このため、どのような適応で申請・承認に至るのかにも注目が集まっている。この点について寺本氏は、「(PCSK9阻害薬は)スタチンを凌ぐ作用を有しており、基本的にはLDL低下薬としての適応で十分という考えはある。ただ、われわれが期待しているのは心血管疾患アウトカムで効果が実証されること」とし、それが実証された際には「心血管疾患を抑制する薬剤として承認されることが望ましい」との認識も示した。

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