GSK・英Adaptimmune がん免疫療法の共同開発で合意
公開日時 2014/06/04 03:50
英バイオベンチャーのAdaptimmuneは6月2日、英・グラクソ・スミスクライン(GSK)とAdaptimmuneのT細胞受容体(TCR)エンジニアリング技術を活用した、がん免疫療法の共同開発ならびに商業化契約を締結したと発表した。
Adaptimmuneは、同社が独自のTCRエンジニアリング技術を活用して、がん精巣抗原(CTA)のNY-ESO-1など標的としたTCRを創製。NY-ESO-1を標的としたプログラムで米国では、多発性骨髄腫、メラノーマ、肉腫、卵巣がんの臨床試験を実施し、良好な成績を生んでいる。欧州でも、近く臨床試験開始予定である。NY-ESO-1は、がん細胞に発現、正常細胞組織では精巣以外の細胞には発現しない抗原である。
両社の契約によると、Adaptimmuneは、GSKとNY-ESO-1を標的とした臨床試験プログラムを共同で進行。それと同時に、製造最適化業務も実施するという。GSKは2016年中に臨床においてこれらの概念が実証化されるか検証した上で、開発を進めるか選択権を持つ。また両社は他のTCRを標的とした開発計画にも協力する。
金銭的条件としてGSKは、Adaptimmuneに、今後7年間で3億5000万ドル以上を支払う。また、開発状況に応じて、マイルストーンや売上高に応じたロイヤリティを支払うとしている。
AdaptimmuneのJames Noble CEOは、「GSKとの協力は、喜ばしいことだ。GSKの開発・製造エキスパティーズ(専門知識・技術)は、我々の開発を加速化するために、かつ、患者に画期的治療法を届けるためには非常に価値の高いものだ」とGSKを高く評価した。
GSKのAxel Hoos腫瘍R&D副社長及び免疫・腫瘍部門ヘッドは、「我々は、AdaptimmuneのTCRエンジニアリング技術が、GSKにおいて進展している免疫・腫瘍ポートフォリオと相乗作用を持ち、我々の既存の自己細胞遺伝子治療におけるエキスパティーズを活用するものと信じている。両社の能力を結集することで、がんと闘う人体の免疫システムの活用における大きな進歩の機会を提供することになる」とコメントした。なお、GSKは、この件に関し、リリースを発表していない(現地時間6月2日現在)。
欧米のメディアでは、GSKが4月22日に、スイス・ノバルティスに抗がん剤事業を160億ドルで売却することを発表したばかりだけに話題となっている。