GSK COPD治療薬Breo発売へ リスト収載に懸念も
公開日時 2013/10/23 03:50
英グラクソ・スミスクライン(GSK)は、10月末までに米国でCOPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬・Breo Ellipta(一般名:フルチカゾン/ビランテロール)を発売する予定だ。しかし、一部保険支払者は、同剤をフォーミュラリーに収載しないことを明らかにしているため、市場浸透には時間がかかりそうだとの懸念も出ている。
Breo Elliptaは、吸入剤コルチコステロイドと長時間作用型β2刺激剤初の1日1回投与製剤。GSKは、世界のベストセラーとなっているAdvairDiskus(日本名:アドエア)に代わるものとして同剤を位置付けている。GSKの売上ナンバーワンであるAdvairは近い将来特許切れを迎え、ジェネリック医薬品の脅威にさらされることが予想される。そのため、同剤はGSKにとって重点製品であり、投資家はその動向を注視している。Advairの2012年売上は、77億2000万ドルだった。
Breoは、1日1回投与などの特徴があるものの、競合品が多く、コスト意識が高まる中で、支払者が新製品にどのように反応するかのケーススタディといえる。
一部保険支払者はすでに厳しい姿勢を明らかにしている。
薬剤給付管理会社CVS Caremark Corpは、2014年1月からのフォーミュラリーにはBreoを収載しないことを明らかにした。Express Scripts Inc(ESI)も2014年のフォーミュラリーには、BreoおよびAdvairを収載しない方針を示した。ESIでは、保険プランの加入者が3000万人から4000万人の範囲に拡大している。
このような状況下で、GSKは、Breoがアクセスしやすい薬剤であることを保険支払者と認識させなければならない。GSKは、同剤の価格をAdvairの30日分、267.67ドルと同程度に設定した。しかし、一般的に、アクセスを保証する上で、交渉によりしばしば価格を引き下げなければならない。今回の場合、GSKはフォーミュラリーに掲載してもらうためには、一層価格を引き下げる必要があるかもしれない。
GSKは、まだ各社と交渉を開始したばかりで、懸念は示していない模様だ。
ESIは、BreoおよびAdvairの代わりに、アストラゼネカのSymbicort(budesonide/formoterol fumarate)および米メルクのDulera(mometasone furoate/formoterol fumarete)を収載した。
状況は、GSKに価格におけるリベート戦略の見直しを迫るかもしれない。
GSKは、「我々が競争条件を持てるよう、価値ある提案(価格)の調整を含め、他の支払者に対してと同様、前向きに交渉している」と話している。この問題の成り行きが注目されている。
(The Pink Sheet 10月14日号)