【World Topics】病院はうるさい
公開日時 2013/08/05 03:52
絶えず聞こえる心電図のモニター音。夜中や早朝に看護師が入って来て脈を取り、体温を測る。夜勤職員の交替時間にはナースステーションから打ち合せの声が聞こえ、隣のベッドからは患者が見ているテレビのトークショーの笑い声が聞こえる。合間には見舞客の携帯電話が鳴り、廊下を歩く医師のペイジャーが鳴り、枕元では点滴の終了を告げるブザーが鳴る。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
病院は実にうるさい。とても安静になどしていられない・・・というのが患者の実感だ。
看護師の4人に3人までが、静かな環境が患者の回復にきわめて重要だと考えているもかかわらず、先頃実施された患者調査によれば、入院患者の4割は夜中でも病室の周辺が静かだとは言えないと回答している。アメリカの病院の入院病棟は大半が個室であるにもかかわらず、この回答なのだ。実際、「騒音」はアメリカの入院患者の最大の不満である。
今年に入ってアメリカの病院の多くが院内騒音問題にまじめに取り組み始めた。専門コンサルタントを雇う病院も多い。2014年に全面施行されるオバマ・ケアが動機の1つとなっている。オバマ大統領の医療改革法は患者満足度を重視すると標榜しており、患者満足度の低い医療機関はメディケアなどの支払い償還率などを下げられる可能性があるからだ。コンサルタントに1~5万ドル程度支払っても、それによって騒音問題を解決でき、患者満足度を上げることができれば、10~15万ドル程度は高い支払いを受けられることになるから、「十分に元がとれる」というわけである。