関節リウマチ治療薬で主流となっている生物学的製剤は、細胞外で炎症に関与するたんぱく質を標的とするが、ゼルヤンツは関節リウマチに伴う炎症に重要な役割を果たす細胞内のシグナル伝達を標的とし、その経路であるJAKを阻害することで症状を抑える。

 

同剤は、「過去の治療において、メトトレキサートをはじめとする少なくとも１剤の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に」１回５mgを１日２回投与する。ただし、日本リウマチ学会は、悪性腫瘍、感染症などのリスクが懸念されるとして、週８mgを超えるメトトレキサートによる治療を３カ月以上継続してもコントロールが不良な患者さんを投薬対象として推奨する「全例市販後調査のためのトファシチニブ使用ガイドライン」（GL、ミクスOnline６月７日付国内ニュース参照）を策定し、適正使用、有害事象の予防・早期発見を呼びかけている。

 

両社も、同学会と協力し、GLの沿って「市販後全例調査を実施し、適正使用の推進に取り組んでいく」としている。4000名の患者を対象に３年にわたる全例調査を実施し、安全性と有効性を検証する。また、同薬以外の薬物療法を開始した対照群（2000例）を設けて、悪性腫瘍、重篤な感染症について比較調査を行う。

 

薬価は５mg１錠2539円で、１日薬価は5078円。薬価算定時に中医協に提出した資料によると、市場予測（ピーク時８年後）は投与患者数4.3万人、販売金額597億円。