中外製薬 抗がん剤タルセバ、アバスチン、ハーセプチンに適応追加承認
公開日時 2013/06/17 05:03
中外製薬は6月14日、抗がん剤のタルセバ錠、アバスチン点滴静注用、ハーセプチン注射用のそれぞれに適応を追加する承認を取得したと発表した。タルセバは、非小細胞肺がんにおいて、EGFR遺伝子変異陽性であればファーストラインでの使用が可能になる。
承認内容は次のとおり。
▽タルセバ錠25mg、同100mg、同150mg(エルロチニブ塩酸塩、中外製薬):「EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な再発・進行性で、がん化学療法未治療の非小細胞肺がん」を追加。
海外フェーズ3(EURTAC試験)では、EGFR遺伝子変異陽性患者174人を対象に、タルセバ単独投与と標準的療法に用いられる白金製剤ベース薬剤とを主要評価項目である無増悪生存期間(中央値)で比較。タルセバ群では10.4カ月と、対照群の5.1カ月より有意に延長したことが確認された。国内フェーズ2では、EGFR遺伝子変異陽性患者103人を対象に行い、主要評価項目の無増悪生存期間は11.8 カ月(中央値)だった。
EGFR遺伝子変異陽性患者は、アジアでは約30%という。
▽アバスチン点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL(ベバシズマブ遺伝子組み換え、中外製薬):「悪性神経膠腫」を追加。
初発の膠芽腫を対象に、放射線照射とテモゾロミドによる標準療法と、それにアバスチンを併用した国際共同フェーズ3(AVAglio試験)では主要評価項目の無増悪生存期(中央値)はアバスチン群は10.6 カ月と、対照群の6.2カ月より有意に延長したことが確認された。
再発患者を対象にした治験も実施。テモゾロミドと放射線療法施行後に再発した膠芽腫の患者さんを対象とした米国フェーズ2(BRAIN試験)、再発の悪性神経膠腫の患者さんにアバスチンを単剤投与した国内フェーズ2(JO22506試験)。BRAIN試験では、アバスチン単独投与時の6カ月時点での無増悪生存率は42.6%、奏効率は28.2%。JO22506 試験では、6カ月時点での無増悪生存率は33.9%、奏効率は27.6%だった。
▽ハーセプチン注射用60、同150(トラスツズマブ遺伝子組換え、中外製薬):「HER2過剰発現が確認された乳癌における術後補助化学療法としての1週間間隔投与」を追加。
アバスチンとハーセプチンの適応は、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発の必要性が指摘され、同省から開発要請を受けていたもの。アバスチンは治験結果を踏まえて12年9月に承認申請。翌年5月にはオーファンドラッグに指定されていた。ハーセプチンは、追加予定適応が、広く行われている確立された用法だとして公知申請が認められ、13年2月に申請していた。