FDA 承認審査1回で時間短縮 陰にユーザーフィー制度
公開日時 2013/06/13 05:00
新薬の承認過程である、米食品医薬品局(FDA)の医薬品承認審査が1回だった割合(First-Cycle Approval:FCR)が増加している。しかし、FDAは現時点でピークに達しているとみており、今後さらなる改善がすすむことには疑問を示している。
FCRは、2012年に発効したPDUFA V施行前から増加傾向を示し、04年までの標準審査50%台、優先審査60%台から、11年には74%、12年には72%と増加した。FDA医薬品評価研究センター(CDER)のTheresa Mullinプランニング・インフォーマティクス部長は、4月29日に開催されたFDAとDIA共催の会議で、現在のFCRは約80%であおり、FCRに目標値は定めていないとしている。
FCRについて、FDAは処方せん薬ユーザーフィー制度(PDUFA V)の下で、審査完了報告の目標日前に申請を通過させる目安の1つとしてみている。PDUFA V下での新たな審査モデルでは、申請書提出後に審査開始前に60日間の申請審査期間をFDA側に認めたため、審査期間はこれまでより2カ月間延長されるという暗黙の了解があった。一方で、申請者(製薬企業)には、審査期間中に生じた諸問題について中期および後期の相談を行う機会を設けた。申請書提出時に完全なデータを求めるFDAに対し、これらの方策は結果としてFCR改善の方向に向かった。
今後は審査期間の短縮化、予測可能性の向上で、FCRの増加を促すことが必要と考えられる。その1つの方策として、予見可能性を高める上でも、FDAは申請時に使用される臨床データの共通基準を策定中だ。基準は疾患ごとにまとめられ、ガイダンスとして発行される予定。ガイダンス発行後2年で、要件となる書類の提出が求められることとなりそうだ。
Mullin部長は、「規制監督の観点から申請の価値を最大化するために、申請全体の標準化を目指すことを我々のゴールとしている。そして、追加(試験結果)の報告による負担を最小化することだ」とFDAの考えを示した。
(The Pink Sheet 5月6日号より)