【AAN特別版】フロルベタベンを使用したPET 生存患者のβアミロイド脳内沈着が高精度に検出可能
公開日時 2012/05/07 05:00
アルツハイマー病の病理学的特徴である脳内のβアミロイド沈着が、PETのトレーサーとしてフロルベタベンを使用することで、生存患者の脳で高精度に検出できることが、第3相試験の結果明らかになった。米Banner Sun Health Research InstituteのMarwan Sabbagh氏が、第64回米国神経学アカデミー年次学会(AAN、4月21から28日まで米ニューオリンズで開催)のエマージング・サイエンス・プログラムで、25日報告した。(ニューオリンズ発 森永知美)
アルツハイマー病は、死亡後の解剖または脳組織の生検で、脳内にアミロイド沈着が検出された場合にのみ確定できる。
同試験では、17施設からアルツハイマー病が疑われる患者と同疾患の認識はない患者を含む末期患者204例と、健康な被験者10例に対し、MRIとフロルベタベンを使用したPETを実施し、脳の6つの領域について、同じ患者の脳を死亡後の解剖で直接比較した。解剖に至ったのは31例で、灰白質でのフロルベタベンの取り込みを調べるため、解剖の結果発見された沈着量を、スキャンの結果と照らし合わせた。合計186の領域と、健康な被験者から得た60の領域が分析された。
その結果、フロルベタベンを使用したPETは、感度77%、特異度94%でβアミロイド沈着を検出できることがわかった。
また、実臨床向けに提案されたフロルベタベンの視覚評価アルゴリズムと解剖結果とを比較した結果では、感度は100%、特異度は92%に至った。
これらの結果からSabbagh氏は、フロルベタベンによって生存中に脳内のβアミロイド沈着を高感度かつ高特異的に検出できることが確認できたと結論した。そのうえで、この検出方法により、アルツハイマー病の早期診断が可能となり、確信をもって治療プランが立てられるようになると述べた。また、フロルベタベンの将来的な活用法として、脳内のβアミロイド沈着量を低下させる臨床研究に役立つことが期待できると、コメントした。