慢性疾患患者の半数が薬の飲み忘れを経験 明治薬科大・大田氏らが報告
公開日時 2013/04/05 04:00
調剤薬局で薬剤を処方されている慢性疾患患者の半数が薬の飲み忘れを経験しており、若年層ほど飲み忘れを経験している割合が高い。明治薬科大学の大田詩織氏らが都内の調剤薬局での患者アンケート結果からこのような結果を日本薬学会で報告した。
アンケート調査は都内の調剤薬局で内服薬を継続的に服用している119人から回答を得た。回答者の性別内訳は男性62%、女性38%、年代別では60代が30%と最も多く、次いで50代28%、70代17%、40代11%など。職業別では会社員31%、自営業15%、主婦14%などとなっていた。
回答者のうち飲み忘れ経験があると回答した人は全体の50.4%と半数を超えた。飲み忘れの頻度として最も多かったのが月2~3回で36.7%、ついで週1~2回が26.7%、月1回以下が25%。
年齢と飲み忘れ経験のある人の割合(飲み忘れ率)の相関に関しては、年齢層が上がるほど飲み忘れ経験が少なくなり、負の相関を認めた(r=-0.827、p<0.05)。また、性別と飲み忘れ率との関係では男性が女性に比べ有意に飲み忘れ率が高く(p<0.05)、職業別では会社員の飲み忘れ率が62.2%で、主婦の29.4%と比べると有意に高い結果になった(p<0.05)。
飲み忘れによる残薬があると回答した患者は全体の48%、飲み忘れの場合の対処法を知っている患者は全体の53%。その一方で飲み忘れないための工夫をしている患者は全体の73%にのぼり、回答の多かった対処法としては「目に付く場所に置いておく」「飲むタイミングを決めておく」だった。
薬剤系統別では、高尿酸血症治療薬、糖尿病治療薬、脂質異常症治療薬で飲み忘れ率が高い傾向が認められた。
この結果について大田氏らは「服薬指導の際は高齢者での説明に重点を置きがちだが若年層にも注意が必要であり、職業によって飲み忘れ率に差があることから患者のライフスタイルに合わせた服薬指導が求められる」としている。