シャイア社 米国のSARcode Bioscienceを買収 眼科領域でのプレゼンスを強化
公開日時 2013/03/29 04:00
シャイア社(本社:アイルランド・ダブリン、アンガス・ラッセル最高経営責任者)は3月25日、ドライアイ治療薬を開発中のSARcode Bioscience(本社:アメリカ・カリフォルニア州ブリズベン、Quinton Oswald最高経営責任者)を買収すると発表した。
シャイア社は3月12日にもフェーズ2段階にある未熟児網膜症治療薬を開発中のPremacure AB(本社:スウェーデン・ウプサラ、Jan Borg最高経営責任者)を買収したばかり。2つの買収により、競合が少ないと言われる眼科領域でのブレゼンス強化を図る意向とみられる。
買収では手付金として1億6000万ドルがSARcode Bioscience株主に支払われるほか、開発中の薬剤に関する開発ステージの進展と商業化に関する達成報奨金が支払われる予定(詳細は非公表)。また、買収手続きは2013年第2四半期中に完了したい意向を示している。
今回の買収によりシャイアはSARcode Bioscienceが保有するドライアイ症候群治療薬・Lifitegrastを獲得する。ドライアイでは、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)と細胞間接着分子1(ICAM-1)の結合により惹起されるT細胞の活性化とサイトカイン放出を起源とする慢性的な炎症が背景にあるとされる。LifitegrastはこのLFA-1とICAM-1の結合を阻害するインテグリン拮抗薬。現在、同薬はフェーズ3が進行中で、シャイアは買収完了後、2016年までに商業化を達成したいとしている。
現在、アメリカだけでもドライアイ症候群患者は約2500万人、うち薬物治療が必要な患者は約900万人と言われている。ただし、900万人のうち治療を受けているのは推定で1割程度とされ、そのほとんどが人工涙液点眼などの対症療法のみで、身近なアンメットメディカルニーズ市場とも評され、Lifitegrastの市場性は高いとも指摘されている。
なお、買収されるSARcode Bioscienceは2006年設立でT細胞関連炎症をターゲットにしたバイオ・ベンチャー。現在開発中の製品はLifitegrast のみ。Oswald最高経営責任者は元ジェネンテック副社長。