厚生労働省の薬食審医薬品第一部会は3月8日、新薬5成分の承認の可否を審議し、承認を了承した。この中には国内で7成分目となるDPP-4阻害薬オングリザ錠(申請:大塚製薬)、過活動膀胱治療薬では初の貼付剤となるネオキシテープ(久光製薬)がある。承認が了承されたのは次のとおり。
【審議品目】
▽ノウリアスト錠20mg(成分名:イストラデフィリン、会社名:協和発酵キリン):「レボドバ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるウェアリングオフ現象の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外承認なし。
レボドバ製剤の効果が次第に薄れてくるウェアリングオフ現象を改善するため、この薬剤を併用する。
▽オングリザ錠2.5mg、同5mg(サキサグリプチン水和物、大塚製薬):「2型糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外69カ国で承認済。
現在併用が想定されるすべての既承認の経口血糖降下薬との併用が可能。通常5mgを1日1回投与。国内販売は協和発酵キリンが行う。
▽ネオキシテープ73.5mg(オキシブチニン塩酸塩、久光製薬):「過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁」を効能・効果とする新投与経路・新効能医薬品。再審査期間6年。海外承認なし。
同成分で経口剤はあるが、貼付剤は初めて。貼付剤によって薬物血中濃度の安定化、副作用の軽減を期待する。1日1枚。
▽メトレレプチン皮下注用11.25mg「シオノギ」(メトレレプチン遺伝子組換え、塩野義製薬):「脂肪委縮症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。オーファンドラッグ。再審査期間10年。海外承認なし。
脂肪委縮症は、脂肪組織の消失や著しい減少を特徴とし、それにより脂質や糖代謝の異常などを引き起こす希少疾患。推定国内患者数は100人程度。
▽イノベロン錠100mg、同200mg(ルフィナミド、エーザイ):「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないレノックス・ガストー症候群における強直発作及び脱力発作に対する抗てんかん薬との併用療法」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品・オーファンドラッグ。再審査期間10年。海外35カ国で承認済。
適応症は、就学前から発症する難治性のてんかんで、推定国内患者数は3600人程度。厚労省が開発が必要と判断し、開発助成が受けられる開発支援品目であった。
【報告品目】
▽トラゼンタ錠5mg(リナグリプチン、日本ベーリンガーインゲルハイム):「2型糖尿病」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余(平成31年6月30日まで)。
承認にされれば現在併用が想定されるすべての既承認の経口血糖降下薬との併用が可能になる。
▽ペンタサ坐剤1g(メサラジン、杏林製薬):「潰瘍性大腸炎(重症を除く)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
経口剤、注腸剤に加わる新剤形。より扱いやすくし、患部に効果的に薬剤を到達させることを期待する。
▽ソル・メドロール静注用40mg、同125mg、同500mg、同1600mg(メチルプレドニゾロンコハク酸エストルナトリウム、ファイザー):「多発性硬化症の急性増悪」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
▽マグセント注100mL、静注用マグネゾール20mL、マグセント注シリンジ40mL(硫酸マグネシウム水和物・ブドウ糖、東亜薬品):「重症妊娠高血圧症候群における子癇の発作抑制及び治療」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし
ソル・メドロールとマグセント等の2剤は、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発が求められ、厚労省が当該社に開発要請し、公知申請されていたもの。特例ですでに保険適用されている。