米マイラン インドのGE注射事業会社を16億ドルで買収
公開日時 2013/03/11 04:00
米マイラン社はこのほどインドのStrides Arcolabグループのジェネリック注射薬事業会社・Agila Specialties Praivate Limited(本社:インド・バンガロール)を16億ドルで現金買収すると発表した。Agliaに関しては外電各紙やインドの経済紙などを中心に昨年夏以降、売却話が報じられており、一部ではファイザーやノバルティス、さらには日本の大塚製薬なども買収に関心を示していたとされる。2月中旬にはインドのエコノミック・タイムスが買収交渉がマイランに絞られてきたと報じていた。今回の買収でマイランは現行の保有製品を500品目以上から一気に700品目以上に増やし、バイオシミラー分野を睨んだ大きな成長要因を獲得することになる。
買収は規制当局の認可を待って2013年第4四半期中を目標に行われる予定。さらに今回の買収では一定の条件を満たした場合に達成報奨金として最大2億5000万ドルが支払われる。
買収対象のAgila は現在、米FDAに承認された66品目も含め全世界で承認された300品目以上のジェネリック注射薬を有し、製造施設はインド国内のほかにブラジル、ポーランドなどに9ヶ所にある。このうち8ヶ所がFDAの認可を受けている。また、全世界での国際的なネットワークは70カ国以上で、とりわけマイランにとって空白地帯に等しい南米でのプレゼンスは強化される。今回の買収についてマイランのラジブ・マリク社長も「Agilaはマイランの地域的足跡を大きく広げ、ブラジルのような鍵となる成長市場への進出も可能になった」とコメントしている。
ジェネリック注射薬領域は、ジェネリックメーカーの中では競合が少ないため利益率は高いといわれているが、同時にこのことが裏目に出て、2010年に米ホスピラがFDA警告によりノースカロライナ州の製造施設で一時製造を中止に追い込まれた時には、一部の製品が品薄になるという事態も生じている。このためFDAの認可工場を持つAgliaの買収は、マイランのアメリカ市場での商機も拡大させることになる。
さらに今回の買収額はStrides Arcolabの時価総額から見れば約2倍と高額で、今後各社によるジェネリック注射薬事業をめぐる争奪戦のヒートアップも予感させている。