ノバルティス・12年通期業績 世界売上3%減 ディオバン特許切れ影響を最小化
公開日時 2013/01/30 04:00
ノバルティスは1月23日、2012年通期業績が売上高566億7300万ドル(前期比3%減)、営業利益115億1100万ドル(同5%増)、純利益96億1800万ドル(同4%増)の減収増益になったと発表した。売上高は為替調整による実質ベースでは前年同期比でほぼ横ばいで、従来同社のトップ商品だった高血圧治療薬・ディオバン/コディオの特許失効の影響を最小限に抑えこんだ形だ。1株当たりの純利益は3ドル93セント(同3%増)。2012年の配当金は1株当たり2.30スイスフランの提案を予定している。
セグメント別の売上高は医療用医薬品事業部門321億5300万ドル(同1%減)、アルコン事業部門102億2500万ドル(同3%増)、サンド87億200万ドル(同8%減)、ワクチン・診断関連事業部門18億5800万ドル(同7%減)、コンシューマーヘルス37億3500万ドル(同19%減)。サンドに関してはエノキサパリンの価格競争激化などによりアメリカで減収になったことが響いた。また、コンシューマーヘルス関連では、アメリカ・ネブラスカ州のリンカーン工場で11年12月に品質管理問題で操業を停止。現在同工場は動物薬とOTCの一部の生産を再開しているものの、事実上の出荷停止状態でこのことが減収に大きく影響した。
一方、アメリカ、カナダ、西ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、日本を除くすべての市場からなる新興成長市場での通期売上高は、為替調整の実質ベースで6%増の約138億ドルとなり、グループ売上高の24%に達した。
主要な医療用医薬品の売上高は慢性骨髄性白血病治療薬・グリベック46億7500万ドル(同0.3%増)、高血圧症治療薬・ディオバン/コディオ44億1700万ドル(同22%減)、加齢黄斑変性治療薬・ルセンティス23億9800万ドル(同17%増)、先端巨大症/神経内分泌腫瘍治療薬・サンドスタチン15億1200万ドル(同5%増)、高血圧症治療薬・エックスフォージ13億5200万ドル(同12%増)、悪性腫瘍骨転移治療薬・ゾメタ12億8800万ドル(同13%減)、多発性硬化症治療薬・ジレニア11億9500万ドル(同142%増)、アルツハイマー型認知症治療薬・イクセロン/イクセロンパッチ10億5000万ドル(同2%減)、慢性骨髄性白血病治療薬・タシグナ9億9800万ドル(同39%増)、経口糖尿病治療薬(DPP-4阻害薬)・ガルバス/エクア9億1000万ドル(同34%増)。
なお、今回ノバルティスでは10年まで最高経営責任者を務め、17年間にわたって指揮を執ってきたダニエル・バセラ取締役会長が2月の年次株主総会を機に退任し、10年に同社を退社したバイエルのヘルスケア部門責任者イエルク・ラインハルト氏が新取締役に提案され、13年8月1日付で業務執行を行わない取締役会会長に任命されることを発表した。バセラ会長退任からラインハルト氏の会長就任までのあいだはウーリッヒ・レーナー現副会長が臨時で取締役会の運営を担う。