元武田薬品豊田繁監修国立民族学博物館外来研究員／エディンバラ大学南アジア研究所客員研究員上池あつ子執筆インドは、世界貿易機関（WTO）の貿易に関する知的所有権の貿易関連の側面に関する協定（TRIPS協定）に特許制度を準拠させるため、2005年４月、改正特許法を公布した（05年１月１日に遡及して施行）。この05年改正特許法の目玉は、物質特許制度の導入であり、特許保護期間は最低20年間に延長された。インドの特許制度はTRIPS協定に整合的となったが、運用面や権利行使については問題が指摘されている。本稿では、05年改正特許法のなかで、特に外国企業の脅威となっている問題点について考察する。相次ぐ欧米企業出願特許に対する拒絶査定近年インドにおいて、欧米の製薬企業が出願した特許が、05年改正特許法第３条...