米FDA 不眠症治療薬・ゾルピデムの推奨用量減量を求める
公開日時 2013/01/16 04:00
米食品医薬品局(FDA)は1月10日、不眠症治療薬・ゾルピデムについて、同剤服用後の翌朝に血中濃度が高い患者がみられ、運転など注意を要する行動に影響が出る恐れがあることから、同剤の製造企業に現在の推奨用量を減量することを求めていることを明らかにした。
特にゾルピデムを服用女性の不眠症患者では、血中濃度が下がりにくく、翌朝まで持ち越し、覚醒状態を必要とする運転などの作業に影響を及ぼす恐れがあることが示されたため。運転シミュレーションや臨床試験などに基づく新たなデータでは、ゾルピデムの徐放性製剤で特に翌朝の機能障害のリスクが高いことが示されている。
該当製品は、Ambien(仏・サノフィ社)、Ambien CR(サノフィ社)、Edluar (スェーデン・Orexo社およびMeda社)、Zolpimist(米・NovaDel Pharma社)およびAmbienとAmbien CRの後発品。
添付文書(ラベル)では、女性患者には推奨用量の減量、男性患者では投与量の減量を医療関係者に考慮するよう、明記することを求めた。女性患者の減量は、短時間作用型剤型(Ambien、Edluar、Zolpimist)で10mgから5mgに、徐放性製剤(Ambien CR)で12.5mgから6.25mgに減量することとした。男性患者については、短時間作用型剤型で5mg、徐放性製剤で6.25mgの低用量を考慮すべきことを推奨する記述を求めた。
FDAは同日、医療関係者および消費者向けに「Drug Safety Communication」(医薬品安全性情報)を発行。朝の機能障害はゾルピデムに限ったものでなく、眠気は不眠症治療薬のラベルの副作用欄に普通にあるので、注意をしてほしいと呼び掛けた。
FDA医薬品評価研究センターのEllis Unger医薬品評価第1部長は、「全ての不眠症薬のもつ機能障害の可能性を減少させるために、医師は不眠症を治療できる最小量を処方し、患者はそれを服用すべき」と指摘した。その上で、「翌日、車の運転などフルに覚醒を要する作業をしなければならない人はその不眠症薬が適切かどうか医師らに相談すべき」と話している。