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FDAの画期的新薬指定プログラムがスタート

公開日時 2012/11/20 04:00

米食品医薬品局(FDA)は10月1日から、画期的新薬を指定することで画期的新薬の開発促進を目的としたプログラムが発足させたが、未だそのプログラムがどのように機能するか明確にしていないものの、医薬品業界からは、すでに画期的新薬指定への申請が多数出ている。FDA医薬品評価研究センター(CDER)のJohn Jenkins新薬部長が、10月22日の全米希少疾患組織(NORD)とDIA共催の会合で明らかにした。


画期的新薬指定の制度は、2012年初めに発効した「FDA安全・イノベーション法」(FDA Safety and Innovation Act)に基づいて設置された。画期的新薬指定の目的は、画期的新薬の開発の迅速化と臨床試験でのコストの低減にある。指定を受けると臨床試験の短縮化などのベネフィットを受けることが出来る。しかし、その指定を受けるためには、初期の試験で既存の薬剤を上回る、疾患に対する劇的な改善を示さなければならないことが義務付けられる。


FDAは、まだ同プログラムの最終案を策定していないが、すでに画期的新薬の申請をする基本的要件をまとめた。正式なガイダンスが発行されるまでは、同申請は、IND(治験薬申請)と一緒に提出を義務付ける考えだ。FDAでは、製薬企業は、当該薬剤が重篤、もしくは生命を脅かす疾患の治療薬であるエビデンスや既存治療を上回ることを有意に示す初期臨床データなどを提示し、それが指定に値するかの理由について述べた書類の提出を求める考えだ。


FDAは、画期的新薬申請の受理日から60日以内で、指定の決定を行う。10月1日スタートしたので、最も早い決定は12月1日ごろと予想される。


Jenkins部長は、指定は承認の目安としても見なされるために、投資家に多大な影響を与えるので、慎重に行う考えを示した。だが、FDAは、まだ、指定の基準を明らかにしていない。同部長は、「画期的新薬指定のハードルは高いが、優先審査に関する定義とはまた異なったものになる」と話している。同指定制度の詳細は、包括的な迅速承認ガイダンスに組み込まれる予定だが、加速承認(accelerated approval)の改定、優先審査(priority review)、ファストトラック(fast track)などとの差別化も明確にする予定。


製薬企業にとっては、画期的新薬の指定を受けることは、大きな勝利のように見えるが、FDAは、すべての申請者(製薬企業)にとって理想ではないと警告している。画期的新薬の指定は、FDAが、製薬企業がより少ない患者で期間の短い小規模な臨床試験で行うことを認める可能性がある。つまり、臨床試験を早く低コストで行えることを意味する。


しかし、Jenkins部長は、「製薬企業は、指定を受けると、通常よりも早く製造などの計画を立てなければならない」と指摘する。新たな承認制度は、通常の開発計画よりもかなり早く生産工場の準備をしなければならないことになる。


このことは、小規模の企業にとっては、指定のメリットを十分に生かすためには早期にかなりの投資をしなければならないことをも意味する。また、小企業ばかりでなく、申請企業には、FDAが開発のイニシアチブを発揮するために、FDAとのコミュニケーションをより早期から行う必要がある。コミュニケーションを増やすことは、「処方せん薬ユーザーフィー法改正法」でも大きなテーマだったが、指定を受けることはメリットもあるが大きな負担も負うことになる。


The Pink Sheet 10月29日号
 

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