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サノフィ Zaltrapの薬価50%引き下げへ:米専門誌報道

公開日時 2012/11/15 04:00

米国のスローンケータリング記念がんセンター(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center: MSKCC)が、仏サノフィ社の新規結腸直腸がん治療薬Zaltrap(ziv-aflibercept)について薬価が高すぎるとの理由で同病院での使用を拒否した問題で(本誌既報)、サノフィは、同剤の薬価を約50%引き下げて納入するとの意向を病院に通告した模様だ。米がん研究・抗がん剤専門週刊誌「THE CANCER LETTER」11月8日号が報じた。


この問題は、MSKCCのがん専門医らが米一般紙「ニューヨーク・タイムズ」に同剤の薬価はスイス・ロシュ/米ジェネンテックの結腸直腸がん治療薬Avastin (ベバシズマブ)と効能効果・安全性等が同等でありながら、価格が約2倍であり、Zaltrapを使用するメリットはないと同病院の使用薬剤フォーミュラリーに採用しないことを決定したことを寄稿した。同専門医らは、同時に一般的に抗がん剤の価格が高いことについても問題提起した。Zaltarapの1か月の平均的な薬剤費は約11000ドルで、Avastinは約5000ドル。
 


サノフィは、MSKCCばかりでなく、主要ながんセンターなど市場の価格決定に大きな影響力を持つ医療機関の抵抗に遭い、薬価引き下げの実施に迫られた格好となった。結局、Avastinの価格と同レベルに下げることになった訳だ。同社は、すでに当初価格に批判的な病院やがん治療のKOL(キーオピニオンリーダー)にAvastinと同程度の価格に下げることを連絡したという。


「THE CANCER LETTER」によると、サノフィは、「我々は、患者がZaltrapの恩恵に浴すには同剤へのアクセスが重要と考えている」とし、「Zaltarpの価格は競争的である」と信じているとしたうえで、米国市場での価格への抵抗と米国市場での同剤の認知度向上の観点から、米国の抗がん剤市場での薬価を下げたことを明らかにした。
 


米医薬専門誌「Fierce Pharma」は、サノフィのCristopher Veibacher CEO(最高経営責任者)が、MSKKCの医師らによる、Zaltarpの価値に見合った薬価についての考え方は間違っていると指摘、サノフィ社として、当初の価格は正しいと信じていることを伝えている。


今回の問題の帰結は、サノフィが市場の要求に妥協した格好となったが、他の高価な薬価の抗がん剤へどのように影響を及ぼすかの懸念も出ている。だが、今回の薬価引き下げのケースは特殊と見る向きもある。FDAは同剤を、転移結腸直腸がんで、オキサリプラチンをベースとした化学療法後の2次治療として承認した。


現在、同疾患の市場は、AvastinとブリストルマイヤーズスクイブのErbitux(セツキシマブ)がリードしているため、アナリストらは、Zaltrapは最大、3億ドルから4億ドルに留まると同剤の市場規模はもともと小さいと見ており、価格引き下げも大して影響はないとの考えを示唆している。

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