Humiraの潰瘍性大腸炎効能追加、諮問委は承認を勧告
公開日時 2012/09/20 04:00
米食品医薬品局(FDA)の胃腸薬諮問委員会(GDAC)が8月28日、アボットラボラトリーズのTNF-α阻害剤Humira(アダリムマブ)について、潰瘍性大腸炎の効能追加の承認を勧告したことで、同剤は承認に大きく近づいた。しかし、同剤の最適な患者集団や至適用量が確立されていないため、アボットは多数の市販後試験を実施しなければならない模様だ。
GDACの同剤の承認勧告に関する票決内容は以下の通りだ。
*15-2で、現在入手できるデータに基づいて、中等度から重度の活動型潰瘍性大腸炎の治療薬としてHumiraの期待されるベネフィットは、同剤の既知および可能性のあるリスクを上回ることに賛同。
*14-3で、同適応についてはHumiraの至適用量は確立されていないことに賛同。
*15-1、棄権1で、8週間後に臨床的寛解を見た患者集団においてHumiraとプラセボの間での観察で、臨床的に有意なベネフィットが示されたことに賛同。
*16-1で、52週目での臨床的寛解は臨床的に有意なベネフィットを示すことに賛同。
*15-1で、試験827において52週目で臨床的寛解を見た患者の割合における8.8%の差は臨床的に有意差を示したことに賛同。
*10-6、棄権1で、8週目および52週目で臨床的寛解を見患者の割合における4.4%の差は臨床的に有意差を示したことに賛同。
*14-2で、FDAがアボットに(これ以上の)承認前の有効性試験を求めるべきでないことに賛同。
GDACは、結論として、承認前の追加試験を行わず効能追加を承認し、2本のピボタルな臨床試験で各エンドポイントにおける有効性は臨床的に有意であることが認められたとした。諮問委員会の委員の大半は、同疾患にはアンメットメディカルニーズが高いとの意見だ。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のAmandeep Shergill医師は、「臨床家としてこの薬剤を自分の『装備一式』のなかに入れたい」と話した。
諮問委では、アボットが、至適用量の決定やターゲット集団を決めるために承認後臨床試験を実施することが合意された。
しかし、諮問委は、2人の生物統計学者から、欠測データが多いなどの指摘を受けた。生物統計学者のGarnet Anderson氏は、「8週目のデータは十分だが、52週目が分からない」と指摘、52週におよぶ効果の持続性に疑問を投げかけた。効果の持続性が特に不明確な分野とされており、アボットは、「寛解の維持」の適応を取り下げた。Anderson 氏は、「(52週目の)臨床的に有意だということは難しい。持続性については分からない」と語っている。
カリフォルニア大学ロスアンジェルス校のMarc Wishingrad氏は、「この慢性疾患では長期的に起こることが非常に重要」と指摘している。他の諮問委員も、この問題は承認後のフォローアップ試験では自然なこととの考えを示している。
Atul Kumar諮問委員会委員長代行(Stony Brook医科大学)は、「特定の患者集団、特に小児などがあるかどうか、また、安全性の懸念から投与量設定試験を含む承認後試験(複数)の必要がある」と指摘している。承認が間近となったとはいえ、アボットが今後なすべきことは多々ありそうだ。
The Pink Sheet 9月3日号