SBIファーマとノーベルファーマ 悪性神経膠腫の経口体内診断薬を国内申請
公開日時 2012/07/10 04:00
SBIファーマとノーベルファーマは7月6日、脳腫瘍の一種である悪性神経膠腫の摘出手術中に使用する体内診断薬を5日付で承認申請したと発表した。この診断薬の有効成分はアミノレブリン酸塩酸塩(ALA、以下ALA診断薬)。ALA診断薬を腫瘍摘出術の2~4時間前に経口投与し、術中に患部に特殊な光を当てると腫瘍部位が赤く光る。国内臨床試験では、正常組織との識別を容易にすることの有効性と安全性が確認されたという。なお、世界では欧州20か国以上で販売されている。
両社は、「術時の腫瘍摘出率の向上に寄与するとともに、術中及び術後の患者の身体的負担を軽減することが期待される」とコメントしている。
悪性神経膠腫の患者は年間1万3000人~1万4000人とされる。神経膠腫は脳内に存在するグリア細胞の腫瘍で、その多くは予後不良な悪性腫瘍という。神経膠腫の標準治療として通常、開頭手術が行われるが、手術で腫瘍を全摘出することは困難で、多くの場合は術後に放射線治療や化学療法が行われる。
ALA診断薬はドイツのmedac社とSBIファーマとのライセンス契約に基づき、SBIファーマとノーベルファーマの共同事業として臨床試験を行ってきた。同診断薬は2010年9月に厚労省から希少疾病医薬品に指定されている。
ALAは36億年前から存在するアミノ酸の一種で、赤ワインやかいわれ大根などの食品に含まれる。植物では光合成に不可欠な葉緑素、動物ではビタミンB12、血液成分、細胞内エネルギー産生などに関わることが知られている。その応用範囲は脳腫瘍術中診断、がんスクリーニングなどの医療分野から、貧血予防の健康食品分野、にきび・肌荒れなどの化粧品分野など多岐に渡るという。