中外製薬 嚢胞性線維症の海外標準治療薬プルモザイムを発売
公開日時 2012/06/08 04:00
中外製薬は嚢胞性線維症の海外標準治療薬プルモザイム(一般名:ドルナーゼ)を6月8日に販売を開始した。同社は呼吸器疾患領域では鎮咳去痰薬レスプレンなどの製品があり、プルモザイムについては同社のプライマリー領域のMRが扱う方針。希少疾病用医薬品に指定されており、予測市場規模はピーク時の9年目で17人の5000万円。
国内の嚢胞性線維症患者は約187万人に1人と推定され、09年単年中の推定患者数は15人。嚢胞性線維症の原因は生体内のCFTR(塩素イオンチャネル)の遺伝子異常。治療法は確立しておらず、呼吸器症状に対する去痰剤や気管支拡張剤の投与、感染症に対する吸入および全身性抗菌剤の投与など対処療法が中心。
プルモザイムは粘液・痰中に大量に含まれ粘稠性を高くしている好中球由来のDNAを分解し、喀痰を容易に排出させることにより肺機能を改善により、呼吸困難の症状の緩和が期待される。嚢胞性線維症患者は汗の中の塩化物イオンの濃度の高値が持続するため、疾患の診断には汗中の塩の濃度を測定する方法が用いられるという。
同剤については、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で既存データを用いての申請が妥当と評価され、海外データ等を用いて承認申請が行われた。ラセボを対照として実施された海外の臨床試験で、同剤の吸入により肺機能の改善、重症気道感染症の罹患リスクが低下することが確認されている。
海外では、欧米をはじめとする約70カ国で承認され、標準治療のひとつでとして位置付けられており、年間約5万人の患者が使用しているとされる。