アステラス 腎細胞がん薬チボザニブがソラフェニブに対しPFS延長 ASCOでフェーズ3結果発表へ
公開日時 2012/05/18 04:00
アステラス製薬は5月17日、米欧で腎細胞がん(RCC)の適応取得を目指し、米アヴェオ社と共同でフェーズ3試験を進めている分子標的薬チボザニブ(開発コード:ASP4130)について、対照薬のソラフェニブ(製品名:ネクサバール)に対し主要評項目の無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に延長したとする臨床試験結果を今年の米国腫瘍学会(ASCO)の年次総会で報告すると発表した。同社は米国での上市時期は明らかにしておらず、日本では同社は開発権を持っていないため臨床試験は行っていない。
チボザニブはVEGFR阻害剤で、3つの血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体すべてを阻害し、VEGF経路を遮断する。進行性腎細胞がんの外科手術後の予後の良い患者を対象にしたフェーズ2試験で、PFSが14.8カ月という結果が得られており、ネクサバールと効果や安全性などを比較するフェーズ3試験でPFSを改善するような有効性が得られれば、スーテント、ネクサバール、ボトリエント、アバスチン、トーリセルなど競合品のひしめく同市場でポジショニングが可能との見方がされ、フェーズ3の結果が待たれていた。米国のRCCと診断される患者数は6万人で、そのうちステージ4の患者でファーストラインの治療を受けているのは1万2200人、セカンドラインが5700人とされる。
今回ASCOで発表されるフェーズ3試験の結果は、進行性腎細胞がん患者を対象に517人をチボザニブとソラフェニブに割り付け、チボザニブの有効性と安全性を比較検討したもの。
第三者による画像判定により全被験者のPFS(中央値)を解析した結果、全身性の治療歴のない患者でのPFSは、ソラフェニブ9.1カ月に対しチボザニブは12.7カ月。サイトカインを含む全身性治療歴を有する患者のサブグループでは、チボザニブは11.9カ月でソラフェニブの9.1カ月に対し延長を示した。
安全性については、良好な忍容性を示した。チボザニブで最も一般的に観察された有害事象(全グレード/グレード3以上)は高血圧(チボザニブ44%/25%、ソラフェニブ34%/17%)。一方、ソラフェニブでは手足症候群(チボザニブ13%/2%、ソラフェニブ54%/17%)だった。
なお、全生存(OS)については全ての解析が終了しておらず、13年に公表予定。