Amylin社のBydureon承認でGLP-1市場が活発化か?
公開日時 2012/02/17 04:00
米食品医薬品局(FDA)が、1月27日、Amylin Pharmaceuticals社の2型糖尿病薬Bydureon(長時間作用型エキセナチド)を承認したことで、GLP-1受容体作動薬全体に関心が向けられ、GLP-1作動薬市場が活況を呈するのではないかと期待されている。
同じGLP-1作動薬ビクトーザ(リラグルチド)を持つノボノルディスク社は、Bydureonの登場でも、ビクトーザの持つ利便性・忍容性の観点で差別化できるとし強気に出ている。同剤は2011年には10億ドルを売り上げた。
デンマークのバイオテク企業・Zealand Pharma社は、サノフィ社と提携、GLP-1受容体作動薬Lyxumia (lixisenatide)を開発、同剤は現在、欧州では審査中、米国では今年後半に申請予定だ。
Bydureonの適応は、成人の2型糖尿病患者における血糖管理改善あるいは運動・食事療法の補助療法としての第2選択の単剤療法となっている。この適応はビクトーザと類似しており、Amylinによる世界初のGLP-1受容体作動薬であるByettaとはやや異なる。
Bydureonの効果は、ほぼ他のGLP-1作動薬に似ているが、主なメリットは1週1回注射剤の点だ。Byettaは1日2回注射、ビクトーザは1日1回注射となっている。
GLP-1作動薬市場は現在、糖尿病薬市場全体の約10%を占め、この数字は急速に伸びており、2016―2017年には60億ドルに達すると見込まれている。
Amylin社とパートナー・イーライリリー社は2005年に初めてのGLP-1作動薬Byettaを発売、ピーク時に8億ドルを記録したが、ノボのビクトーザが欧州で2009年に、米国では2010年に発売されるとノボの積極的営業策とビクトーザの服用利便性の観点から同剤の売上は急速にダウン、2011年の売上は5億ドル程度と見られている。そのような状況下で、Amylinは、Bydureonを市場に持ち込むことになるが、同剤はすでに米国を除く欧州など31か国で承認済み。ドイツでは出だしが順調で、英国では、滑り出しが遅いもののNICE(国立臨床評価研究所)の英国保健サービスでの使用を推奨されている。
Bydureonの今後の動向が注目されるが, ノボのLars Rebien Sorensen CEOは、「我々はBydureonに対して、強い競争的ポジションに立っているが、同剤が我々と一緒に(GLP-1作動薬)市場を作ってくれる」と市場形成への期待感を示した。ノボは、ビクトーザの週1回注射剤を現在、フェーズI開発中だ。また、別途、週1回投与剤の新規有効物質semaglutideはフェーズII試験中である。
証券アナリストらは、Bydureonの欧州での発売はGLP-1作動薬全体の使用を刺激し、米国でも同様の状況を生み、Zealand社/サノフィ社のlixisenatideを受け入れる素地も形成し、今後の展開が注目されると見ている。
(The Pink Sheet 2月6日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから