小宮山厚労相 診療報酬ネットプラス改定「医療を維持する意思表示」
公開日時 2011/12/22 04:03
小宮山洋子厚労相は12月21日、12年度診療報酬改定率が決まったことを受けて記者団の取材に応じ、全体(ネット)でプラス0.004%の改定率について「この政権が、しっかりと医療の仕組みを維持していくだけの財源をつけていくという意思表示」と述べた。
診療報酬改定率については、20と21の両日の計3回の小宮山厚労相、安住淳財務相の折衝で折り合いがつかず、21日夜に藤村修官房長官を交えた官邸での4回目の折衝でネットで0.004%のプラス改定にすることで合意し、10年度改定の0.19%に続く、2回連続のプラス改定となった。その後、両相はもう1回折衝をし、細部を合意した。
その結果、診療報酬の本体は約1.38%(医科1.55%、歯科1.70%、調剤0.46%)の引き上げ、薬価・材料は約1.38%引き下げ(内訳:薬価=▲1.26%、材料=▲0.12%。なお薬価ベースの引き下げ率は▲6.00%)となった。
本体引き上げには、その財源の大半を薬価改定による約5000億円で賄う形で計5500億円が、疲弊する救急、産科、小児、外科などの急性期医療、病院勤務医の負担軽減、在宅医療などの強化などに重点配分されることになる。その中での0.004%の引き上げは、それに相当する医療費は約16億円であり、プラス改定を謳う民主党のマニフェストの達成と、政権として疲弊する医療の立て直しに取り組む姿勢を示すという、政治的意味合いの強い数値と見ることができる。
一方、製薬業界は、経営に影響するとして、通常薬価改定とは別に実施される長期収載品の追加引き下げに高い関心を寄せていた。結果として前回の2.2%の半分以下の0.9%(薬剤費ベースで250億円)となった。当初、財務省は追加引き下げ10%を主張していただけに、小宮山厚労相は「最初に言われたような下げ方はしないで収められた」としたが、その後の厚労と財務の両大臣の合意では、12年度に後発品数量シェア30%以上とする政府目標の後にさらなる後発品使用促進を図るため「ロードマップを作成し、強力に進める」とし、さらに「長期収載品の薬価の在り方について検討を進める」ことになり、先発メーカーとしては12年度以降も予断を許さない状況が続くことになる。
同時改定を行う介護報酬の改定率は1.2%のプラス。厚労省は当初2%の引き上げを主張していたが、物価の状況を0.8%分差し引いた形で、小宮山厚労相は「最低限のものはとれた」とし、介護職員の給与引き上げなどの処遇改善も「可能」だとした。