塩野義 シャイアーのADHD治療薬2剤を国内共同開発へ
公開日時 2011/11/24 04:01
塩野義製薬はこのほど、アイルランドのシャイアー社から、注意欠陥・多動性障害(ADHD)治療薬2剤の日本国内における共同開発・商業化に関する契約を締結したと発表した。今回契約した2剤の米国製品名は「Vyvanse」と「Intuniv」。2剤とも日本で現在上市されているADHD治療薬「コンサータ」や同「ストラテラ」とは作用機序が異なる。塩野義は、「ADHD治療の選択肢が広がる」とコメントしている。
塩野義の現在の重点疾患領域は代謝性疾患、感染症、疼痛の3領域だが、これら以外にも強みを持たせる方針を示している。同社では2010年4月から抗うつ薬サインバルタを国内販売するなど、近年、中枢神経系領域で存在感を示しつつある。同領域のADHD治療薬も手掛けることで、新たなフランチャイズ領域としたい考えだ。
今回の契約によって塩野義はシャイアーに契約一時金を支払うほか、上市後は両社が合意した販売計画に沿ってコ・プロモーションし、塩野義が売上に応じたロイヤリティーをシャイアーに支払う。具体的な金額は非開示。
ADHDは年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力や衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、日常生活や学業に支障をきたすものを指す。症状は7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されている。
Vyvanseは前シナプスからのドパミンとノルアドレナリンの遊離促進及び再取り込みを阻害することで両作動性神経を活性化する中枢神経刺激薬。10年のグローバル売上は6億3400万ドルで、ADHD治療薬の中で売上5位という。Intunivはシナプスに存在する受容体を介してノルアドレナリン作動性神経を活性化する非中枢神経刺激薬。09年11月から米国販売が始まり、10年の売上は1億6600万ドル。