経口AD治療薬の服薬に負担を感じる家族介護者 4割強に ノバルティス・小野薬品
公開日時 2011/08/04 04:01
ノバルティス ファーマと小野薬品はこのほど、アルツハイマー型認知症の親を在宅介護している家族介護者を対象に意識調査を実施し、親(=アルツハイマー型認知症患者 以下、患者)に経口治療薬を服薬してもらうことに負担を感じている家族介護者(以下、介護者)が4割強にのぼることがわかったと発表した。服薬の準備から服薬完了まで10分以上かかる介護者が約半数いて、さらに服薬確認のため付き添うことに負担を感じる介護者も少なくない実態も明らかになったとしている。
調査は5月6日~10日にインターネットで実施した。調査対象者は認知症症状が軽度から中等度で、治療薬を服薬しているアルツハイマー型認知症の親を在宅介護している30代以上の全国男女300人。
その結果、介護者が最も負担に感じることは、トップが、介護者が患者の現状把握を行う「日常の見守り」で46.3%。これに次いで「周辺症状(問題行動)への対応」(33.3%)、「薬の投与、服薬管理・確認」(28.7%)と続いた。次に患者に経口アルツハイマー型認知症(AD)治療薬を服薬してもらうことに負担を感じているかどうかを聞いたところ、「いつも負担に感じる」(9.0%)、「時々負担に感じる」(35.7%)と合わせて44.7%の介護者が負担を感じていると回答した。「あまり負担とは思わない」(28.7%)、「全く負担とは思わない」(12.3%)と負担とは思わない介護者も41%いてほぼ拮抗しているものの、介護者の4割強が負担を感じている実態は浮き彫りになった。
服薬に関して困っていることで最も多いのは「飲み忘れ」(40.7%)。これに次いで「服薬の場に立ち会わない限り、本当に服薬しているか確認できない」(25.7%)、「服薬準備や服薬に手間と時間がかかること」(22.3%)が続いた。また、患者の服薬確認については、4割弱の介護者が毎回確認していなかった。服薬確認の方法では、飲み終わるまでそばで見ている介護者が58.1%だったものの、残り約4割の介護者は「薬のシートなどで確認」「患者本人に確認」など直接目で確認していなかったという。
順天堂大の新井平伊教授は、軽度~中等度のAD患者は自立した生活ができる一方で、介護者にとっては日常の見守りが大きな負担になっていることから、「(経口薬による)日常生活動作障害の進行抑制は患者本人だけでなく、介護者のQOLを改善するためにも非常に大切」と指摘した。その上で、「経口薬では服薬自体に時間がかかったり、服薬確認のために付き添ったりと様々な負担があることも今回わかった」とし、「日常生活動作障害の進行を抑制し、服薬に関わる介護負担を軽減させることが重要で、そのような治療薬が多くの介護者の方々に待ち望まれているということだと思う」とコメントしている。