膵がん臨床試験早期終了の落とし穴 抗がん剤スーテント
公開日時 2011/04/28 04:00
ファイザーの抗がん剤スーテント(スニチニブ)が膵神経内分泌腫瘍(PNET)を適応症としたフェーズIII試験で良好な結果を示したため、臨床試験を早期に終了した。しかし、FDAの腫瘍薬諮問委員会(ODAC)からリスク・ベネフィットプロファイルは良好との勧告を受けながらも、FDAからはその結果に懸念が示されている。
同剤は、フェーズIII試験では、スーテント投与群では、無増悪生存期間(PFS:中間値)が11.4か月でプラセボ群の5.5か月と比較、有意に延長するなど良好な成績を示し、ファイザーは早期に試験を終了した。しかし、ODACは8対2で承認勧告を行ったものの、「試験の早期終了は有効性のデータの価値を下げ、PNETという稀少疾患における同剤のベネフィットを不鮮明にした」との考えを示した。
FDAも、試験結果は、試験を早期に終了して差し支えない程度には有効性全体の評価が終わっていないと指摘している。ファイザーが、試験を終了する計画について事前にFDAに相談しなかったことが誤りのもとだったと言われている。独立組織のData Monitoring Committee(DMC)は、2006年の臨床試験に関するガイダンスでは、スポンサーが有効性を理由に試験を早期に終了させたい場合FDAと相談することを勧告している。
ODACの投票権のない企業代表メンバーのアストラゼネカのGregory Curt氏は、「試験を早期に終了しようというような重大な決定をする際にはFDAのアドバイスを求めることが大切だ」と話している。
(The Pink Sheet 4月18日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから