オバマ財政再建案 製薬企業は薬剤費カットで交渉のテーブルに
公開日時 2011/04/27 04:00
オバマ大統領が4月13日に発表した12年間で4兆ドルの削減を目的とした財政再建案は、ヘルスケア、特にメディケア(公的高齢者保険)のコスト削減も念頭においているだけに、医薬品業界は、政府と再度交渉のテーブルに引き戻される「先制攻撃」と見ている。
財政再建案のなかで、メディケアとメディケイド(公的低所得者向け保険)併せて2023年までに4800億ドルの削減を計画している。
具体的な削減策の詳細は明らかになっていないが、ホワイトハウスの2012年予算案および2010年の超党派財政委員会案などで提案された以下の事項が提案されると考えられる。
*メディケアパートDで給付される薬剤への強制リベートの実施
*ヘルスケア改革法で規定されたバイオ先発品の特許期間を12年から7年に短縮
*先発メーカーが後発メーカーに対して、後発品参入延期の見返りに支払う「延期への支払い」の禁止
*ヘルスケア改革法で設置され、メディケアの内容の変更などに権限をもつIndependent Payment Advisory Boardの機能強化
◎クリントン元大統領がゲスト講演 業界の将来を保証する改革を
いずれも製薬企業にとっては厳しい提案ばかり。ビル・クリントン元大統領が4月14日の米国研究製薬工業協会(PhRMA)の総会にゲストとして登場、講演の中で、ヘルスケア改革は医薬品業界や米国経済の将来を保証するような方法で行わなければならないことを強調、「我々が米経済を再建できるような方法で彼ら(政府)ができることを行うヘルスケアシステムを考えよう」と呼びかけた。さらに「ヘルスケア予算を削減することは簡単だが、業界の研究開発力を削いでしまっては、将来のビジネスはない。だから問題だ」と問題解決の困難さを指摘した。
PhRMAのChristopher Viebacher 会長(サノフィアベンティスCEO)は、Clinton元大統領の話は理解できるとしたうえで、「我々は急いで結論を出すことは求めていない。しかし、我々の確固たる立場を示し、(政府が)我々の支持する原則を理解しない限り、研究開発や患者の希望が危険にさらされることは明らかだ」との考えを示した。
(The Pink Sheet 4月18日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから