独バイエル社・プリシュケ経営委員会委員 継続的R&D投資の必要性強調
公開日時 2011/03/08 04:02
ドイツ・バイエル社のヴォルフガング・プリシュケ経営委員会委員(イノベーション、技術、環境保全およびアジア太平洋地域担当)は3月7日、東京都内で記者会見に臨み、同社の研究開発ストラテージを紹介した。グローバルベースでのR&D投資額は前年比11%増を確保したとし、このうち67%を新薬開発を含むヘルスケア事業に振り向けたことを明らかにした。現在進行中の臨床試験は50プロジェクトに及ぶ。同氏は、研究開発への継続的な投資を推進する考えを示し、特に、バイエルヘルスケア社については2011年から3年間に総額150億ユーロを投資し、このうち2/3をR&Dに、1/3を設備投資に割り当てる考えを表明した。
◎新規抗凝固薬リバロキサバンのピークセールスは年間20億ユーロ超
グローバルベースの新薬開発のうち循環器領域では、新規抗凝固薬リバロキサバン(製品名:Xarelto)、肺高血圧症薬Riociguat、HIF-PH阻害剤BAY85-3934などに期待感を示した。このうちリバロキサバンについてはピークセールスで年間20億ユーロ超を期待する。同剤をめぐっては日本国内の心房細動患者1280例を対象に行ったJ-ROCKET AF試験の結果が3月19日に横浜市で開催される日本循環器学会で発表されると述べ、日本市場でのプレゼンス発揮に強い期待感を表明した。
オンコロジー領域ではソラフェニブ(製品名:ネクサバール)の適応拡大に加えて、進行性大腸がんとGISTの治療薬として開発中のRegorafenibと、ホルモン抵抗性前立腺がん治療薬Alphradinへの期待感を示した。いずれも臨床第3相試験段階にある。このうちAlphradinの潜在ピークセールスは数百万ユーロを見込む。日本では治験準備中。このほか、網膜疾患治療薬のVEGF Trap-Eyeも注目されるとした。
◎日本市場にも引き続き多くのリソースを投入
アジア太平洋地域でのR&D戦略については、「中国は国の規模に伴って医薬品市場の伸びが高まり、それに伴って投資も増えていく」と見通しながらも、世界第2位の日本市場については、引き続き重要視する考えを強調した。また、新薬開発については、日本を含むアジア地域を巻き込んだ国際共同治験の実施に強い意欲を示しながらも、「各国の市場ニーズや医療制度の違いなどに緊密に応える必要がある」とし、グローバルスタディを基本としながらも、低用量で開発を進めたJ-ROCKET AF試験のように独自の試験を実施することもあり得るとの見解を示した。