夢のお告げ
公開日時 2011/01/12 04:00
正月休みに実家に戻ったTさんは、初夢で転職の夢をみるのだが…。
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転職が、すべて合理的に進むかといえば、そんなことはまったくない。実際には、偶然の産物で内定が決まったり、意味不明の理由で破談になったりということが、おどろくほど頻繁に起きている。
最近、ビックリしたのは、ある転職者の方が、内定の直前までいって、
「会社の建物の方角悪いから、転職はできない」
と、言いだしたときだ。
風水なのか、それともまた別の占いのようなものなのかは知らないが、方角と言われてしまうと我々も打つ手がない。
しかし、その会社のある方向は、最初から決まっていたわけで「じゃあ、なんでそもそも応募したの?」と、言いたくなったわけだが…。
ひょっとするとそれは、断り文句に困った末、どうにかひねり出してきた珍妙な言い訳だったのかもしれない。
年始は、宗教や神事に縁遠い生活をしている人でも、少しばかり信心深くなる時だろう。初詣におみくじ、1年の願掛け、そして初夢。こんな時代になっても不思議とそんなことが気になってしまうものだ。
広報・IRのTさん(28歳)は、年始の挨拶メールで、昨年から年をまたいで選考を受けているメーカーA社について、「少し迷っている」という連絡をしてきた。
年末まで、仕事内容・面接の印象などから、彼女はA社への転職を強く希望していた。
いったい、年末年始の休み中に何があったのか…。
「すみません…。大したことではないんです。実は初夢で、A社に転職する夢をみたんです。はじめのうちは『やったー』という感じでいたんですが、徐々に違和感を覚えるようになって、最後は働くのが苦しくて苦しくて仕方がないという悪夢に変わっていました」
Tさんは最初、少し言いにくそうにしていたが、夢が理由と明かしたあとは、むしろ饒舌になっていった。
「夢って、よく、その人の深層心理をあらわしているって言いますし、実家に帰って、くつろいでいる時に見た夢、それも初夢だから、気になってしまって…。私、そんなに夢占いとか、そういうのを信じる方ではないんですが、ひょっとして自分のなかに何か、転職に後ろ向きな部分があるのかもしれません。少し、自分の気持ちと向き合ってみた方がいいのかなって…」
A社の最終面接は1月中旬に予定されていたので、我々は
「なにが引っかかっているのか、それが分かれば、不安を払拭するお手伝いができるかもしれません。ゆっくり考えてみて下さい」
とTさんと話をしたのだった。
3日後、Tさんから「悪夢の原因」という件名のメールが送られてきた。
メールには写真が添付されており、布団の上にドッカとのり、気持ちよさそうに昼寝をしている太めのネコが写っていた。
「これは実家で飼っている猫です。トラ子と言います。いつもこの布団の上で寝ているんですが、私が実家に帰って、この布団をとってしまったので、怒っていたのかもしれません。朝方、トラ子が私のお腹の上にのっかってきて、私がうなされていたって、母が教えてくれました」
メールの結びは、断定的であった。
「間違いありません。コイツが悪夢の原因です」
十二支に選ばれなかったやっかみか、正月早々、ネコもとんだイタズラをしてくれるものである。
「もう、やんなっちゃう。恥かしすぎです」
と、ぼやくTさんに我々は言った。
「楽しい初笑いじゃないですか」
悪夢に変わる前、Tさんは転職が決まって喜ぶ夢をみていた。あとは、それが現実になるよう、前に進むのみである。
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