FDA諮問委 抗肥満薬Contraveの承認後試験実施を推奨
公開日時 2010/12/27 04:00
FDAの諮問委員会が、Orexigenの肥満症治療薬Contrave(ナルトレキサン徐放製剤/ブプロピオン徐放製剤配合剤)の承認を勧告したが、この勧告では、承認後に心血管リスクを評価する臨床試験を実施すべきとの勧告も合わせて示された。
抗肥満薬ガイダンスはドラフト段階だが、アボットのMeridia(sibutramine)など抗肥満薬の開発が心血管イベントで相次いで挫折するなか、策定が急がれている。
今回の勧告でも承認後試験を推奨したが、心血管リスクを評価するためには承認前に試験を実施すべきとの意見もある。しかし、承認前に実施するとなると、有意な結果を出そうとするには被験者数など膨大なものにならざるを得ず、コスト、時間がかかることは論を待つまでもなく、当然ながら難しく、エモリー大学のEric Felner教授は「とても険しい坂を上るようなもの」という。諮問委のAbraham Thomas 座長代理(ヘンリーフォード病院)も、「そんなことをしたら、肥満という重大疾患の薬剤開発を阻害してしまう」と承認後試験に賛同。
諮問委の委員、William Hiatt氏(コロラド大学)は、体重減少は全般的な心血管リスクを改善させるサロゲートエンドポイントで、最終的にはCVイベント罹患率・死亡率の減少で、「それを検証する唯一の方法は大規模臨床試験」との考えを明らかにし、承認後試験の有用性を強調している。
Orexigenは、承認後に実施する試験デザインでは、対象を1万―3万例、イベント発生率0.5-1%を想定、被験者には治療ベネフィットを得られる心血管イベントリスクの低い患者登録を計画している。諮問委の勧告は、2011年1月31日のユーザーフィーデート(審査終了予定日)までに同剤が承認されるか保証するものではない。Orexigenは、アナリストとの会合で、FDAとの協議は進行しているが、審査期間が延長されるかも知れないと話した。
Contraveは、Orexigenが創製。武田薬品は、2010年9月に、Orexigenと同剤の米国、カナダ、メキシコを対象とした地域での独占的開発・販売契約を締結したことを発表している。
(The Pink Sheet 12月13日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから