サノフィの新規抗がん剤PARP阻害剤「BSI-201」 日本でフェーズ1開始
公開日時 2010/10/18 04:00
サノフィ・アベンティスは10月14日、海外ではトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の治療薬として開発が進められている新しい抗がん剤「BSI-201」について、日本では固形がんを対象にフェーズ1を開始したと発表した。
同剤は、腫瘍細胞のDNA損傷修復に関わる酵素PARP1(酵素ポリADPリボースポリメラーゼ)を阻害し、腫瘍細胞の修復を妨げることで抗腫瘍作用を示すとされる。海外では、転移率が高く、生存率も思わしくないTNBCの治療薬としてフェーズ3が進められている。TNBCは、治療薬が標的とするエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2受容体がいずれも陰性であり、全乳がんの15~20%いる。TNBCを適応症とした治療薬はない。
フェーズ2結果は、8日~12日まで開催された欧州臨床腫瘍学会議(ESMO)で発表され、無増悪生存期間は、BSI-201群5.9カ月で、ゲムシタビンとカルポプラチン投与群(化学療法群)3.6カ月を有意に上回った(HR=0.59、p=0.012)。全生存期間は、BSI-201群12.3カ月で、化学療法群7.7カ月を5ヵ月近く上回る結果となった(HR=0.57、p=0.014)。