【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

ファイザー 日本でもワイスとの統合完了 MR3000人体制

公開日時 2010/06/02 04:02

ファイザーは6月1日、グローバルで先行していたワイスとの統合作業が日本法人同士でも終え、新生ファイザー日本法人が同日付で誕生したと発表した。日本法人の売上高(09年4月~10年3月、薬価ベース)は5284億円(旧ファイザー4714億円、旧ワイス570億円)と武田薬品に次ぐ業界2位、MR数は3040人(同約2640人、約400人)と業界トップの規模となった。このMRは基本的に、担当領域ごとに配置された上で、特許期間中の新薬やCa拮抗薬ノルバスクの情報提供活動を行う。ノルバスク以外の長期収載品計85製品の情報提供は当初計画通り、コントラクトMRとeディテールを活用する方針だ。

ファイザーグループは4年前に、大型品の特許切れを前に全世界で大規模リストラを実施した。現在、世界で年間1兆円を売上げる超大型品の高脂血症治療薬リピトールの米国特許切れを11年に控えており、同社グループの大きな経営課題となっている。日本法人の梅田一郎社長(写真)は同日の会見で、統合によって日本でも、循環器、中枢神経、疼痛/抗炎症、泌尿器系、筋骨格系、内分泌、眼科、がん、ワクチン――など多岐にわたる領域に製品や開発品を多く持つことになり、「リピトールの特許が切れても、(日本で)直ちに人員削減するということは今のところ、全く考えていない」と話した。

これは日本は世界に比べて後発品の影響が小さいうえ、国内開発品も旧ファイザー日本法人の32プロジェクト(承認取得・薬価収載待ち=1(帯状疱疹後神経痛治療薬リリカ)、申請中=2、フェーズ2/3=25、フェーズ1=4)に旧ワイス日本法人の17プロジェクト(申請中=3、フェーズ2/3=12、フェーズ1=2)が加わって、「(国内業績を)来年度以降も伸ばせることが見えている」(梅田社長)ため、仮に世界的なリストラとなっても、成長軌道の日本でのMR削減は回避できるとの見方を示したものとみられる。

ファイザー日本法人は09年12月の発表通り、プライマリ・ケア、スペシャリティ・ケア、オンコロジー、エスタブリッシュト、アニマルヘルス――の5事業部門制で事業展開する。このうち新薬及びノルバスクを扱うプライマリ・ケア、スペシャリティ・ケア、オンコロジーは、「参入する全領域でリーダーとなる」ことが目標。各事業部のMR数は非開示。ノルバスク以外の長期収載品と後発品を扱うエスタブリッシュト事業部は、「当社独自で、自力でやっていける」「ジョイントベンチャーなどの計画は今のところはない」(松森浩士部門長)として、後発品専業企業などとの連携計画は現時点ではないとした。

●アルツハイマー型認知症の開発品が「特に注目」

ファイザー日本法人の原田明久・医薬開発部門長は同日の会見で、「統合によって特に注目してもらいたいのは、アルツハイマー型認知症の開発品」と語った。フェーズ2/3に4つの開発品(旧ファイザー1つ、旧ワイス3つ)が、フェーズ1に1つの開発品(旧ファイザー)があることを明らかにした上で、「(アルツハイマー型認知症は)サイエンスでのメカニズムはわかっているが、どのメカニズムを抑えると効果的なのかはまだ研究段階。このような状況下に(似たようなメカニズムでない)パイプラインが揃っている」(原田氏)とし、競争優位な状況であることを強調した。

また、▽帯状疱疹後神経痛等治療薬プレガバリン(開発コード=CI-1008、製品名=リリカ)▽変形性膝関節症による中~重度の疼痛用薬タネヅマブ(PF-04383119)▽関節リウマチ薬タソシチニブ(CP-690550)▽非小細胞肺がん用薬PF-02341066▽アルツハイマー型認知症用薬バピネヅマブ(PF-5236801、AAB-001)――の5つの開発品を「期待の新薬」と紹介した。プレガバリンを除く4剤はフェーズ2/3段階で、タネヅマブとバピネヅマブは抗体医薬。また、バピネヅマブのみ旧ワイスの開発品となる。

プレガバリンは帯状疱疹後神経痛の適応で承認を取得しており、現在、薬価収載手続き中。また、末梢性神経障害性疼痛で申請中で、繊維筋痛症と中枢性神経障害性疼痛はいずれもフェーズ2/3段階にある。原田氏は「将来、末梢性と中枢性の適応を取得したら、より広い『神経障害性疼痛』の適応にチャレンジしたい。リリカのポテンシャルの高さを日本で是非実現したい」と語った。

タネヅマブはヒト化抗ヒトNGF(神経成長因子)の抗体医薬で、「現在の治験では、NSAIDsの効果を軽く上回る」(原田氏)。タソシチニブはJAK阻害剤と呼ぶ様々なサイトカイン受容体を介するシグナル伝達を阻害する薬剤。PF-02341066は、新規に同定された「ALK融合がん遺伝子」が産生する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害薬で、様々ながん種への適応拡大も見込む。

バピネヅマブは軽度~中等度のアルツマイマー型認知症の適応で開発中。脳内から、アルツハイマー型認知症の病変に見られる老人斑の主要構成であるアミロイド・ベータタンパクを除去することを目的としたヒト化モノクローナル抗体で、「既存薬と違い、アルツハイマー型認知症の疾患そのものの進行抑制が期待される」とした。

 

プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(10)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー