EFPIAジャパン・加藤新会長 新薬14日処方制限のあり方を検討
公開日時 2010/03/05 04:01
欧州製薬団体連合会(EFPIAジャパン)の加藤益弘新会長(アストラゼネカ社長)は3月4日、東京都内で会長就任後初の記者会見にのぞみ、新薬の発売後1年間の14日処方制限について、新薬の安全対策の観点を踏まえて総合的に検討していく考えを示した。新薬の安全対策では市販直後調査や市販後調査などがあるが、「(市販直後調査などで)安全対策がしっかりとれるのであれば、14日ルールが最優先のものかどうか検討しないといけない」と述べた。
14日処方制限ルールに関しては、米国研究製薬工業協会(PhRMA)在日執行委員会の梅田一郎委員長(ファイザー社長)が2月23日の会見で、同ルールの緩和を求めていく考えを表明した。更にPhRMAは25日に、医師の多くが同ルールによって▽患者や家族に身体的・経済的負担がある▽患者の新薬アクセスに制限がかかっている――などと考えており、調査に応えた医師490人のうち約9割が同ルールの廃止や緩和を求めている、との調査結果を公表した。これに対してEFPIAの加藤会長はこの日、14日ルールは療養担当規則の中で新薬の安全対策の観点から導入されているとの認識を示し、総合的に、慎重に検討していく考えを示した。
一方、4月から試行的に導入される一定要件を満たせば特許期間中の新薬の薬価が下がらない仕組み「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」(以下、新薬創出加算)について、加藤会長は、「基本的にはポジティブに考えている」「世界の評価もポジティブ」などと述べ、試行導入にとどまらず恒久化されるよう取り組むと表明した。
ただ、新薬創出加算の試行導入では製薬業界に対して、同加算で得られた資金を基に、国内未承認薬及び未承認適応問題の早急な解消に取り組むことが求められている。加藤会長は、「(未承認薬問題などに)きちんと取り組まないといけない」と強調したうえで、「未承認薬などの問題に対応するためのコストや時間と、未承認薬などの問題がなければ新薬開発に使われたであろうコストや時間をよく考えないといけない。(新薬創出加算や未承認薬等への対応が)これから出てくるであろうイノベイティブな新薬の開発を阻害するものであってはならない」と指摘し、新薬開発と未承認薬等問題解消とのバランスをとることが重要との見方を示した。バランスをとるための方策の一つに公知申請の柔軟な運用を挙げ、必要に応じて当局に働きかける姿勢を見せた。
なお、EFPIA加盟会社の新薬創出加算の対象品目数(成分数)と、未承認薬・未承認適応の解消が求められている件数は、現時点ではそれぞれ全体の32%と30%という。