2012年の売上高目標を下方修正したファイザーだが、11年に大型商品の高脂血症治療薬リピトールの特許失効を控える中、市場関係者からこの目標はなお過大だと懐疑的な声が上がっている。
ファイザーの2012年の売上高目標を660~685億ドル。約1年前のワイス買収発表時の同目標700億ドルから下方修正している。
米国の投資会社Sanford C. Bernstein & CoのアナリストであるTim Anderson氏は、ファイザーが新たに公表した売上目標値について「達成はやや困難だろう」と分析している。
現在、ファイザーが将来に大きな希望を寄せているのは新興市場での売上増。同社のジェフリー・キンドラーCEOは09年の第4四半期の新興市場での売上高が前年同期比25%増の19億ドルと初めて2桁の伸びを示したことを強調。10年は成長率の27%を同市場で得られ、売上高に占める比率は11%にのぼるとの見通しを表明している。
また、同社のシニア・バイス・プレジデントのイアン・リード氏は「医薬品購買力をもつ新たな中流階級を生み出している新興市場は将来、我々にとって非常に重要になる。同時に先進国市場よりも高い成長率を維持できると確信している」と大きな期待を示している。
しかし、前述のAnderson氏は「ファイザーは他社と比較して突出した新興市場での位置づけや戦略を有しているわけではなく、同社が期待する高い成長率は他社にも共通する現象」と語り、業績への効果は薄いと冷ややかな見方だ。
また、ヘルスケアコンサルティング業で知られるLeerink Swann社のアナリストであるSeamus Fernandez氏は「新興市場への資本投下を増加させても、その影響を正確に推し量ることは困難」と指摘している。
(The Pink Sheet 2月8日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから