中外製薬 GLP-1受容体アゴニスト・SGLT2阻害剤で糖尿病領域に参入
公開日時 2009/12/08 04:01
中外製薬は12月7日、R&D説明会で、重点領域であるがん、腎臓、骨・関節領域に加え、糖尿病領域にも積極的に取り組む姿勢を示した。糖尿病治療薬のGLP-1アゴニストの“Taspoglutide”と、SGLT2阻害剤CSG452の2剤がフェーズ2にあることを紹介した。
Taspoglutideは、ヒト体内にあり、食事をした時に小腸から分泌されるホルモンである“GLP-1”のアミノ基を2カ所置換した薬剤。グルコース濃度に依存してインスリン分泌を促進、血糖を降下する作用が期待されている。
週1回投与なのが特徴で、既存薬である米・リリーのExenatide(1日2回投与)、ノボ ノルディスクファーマのLiraglutide(1日1回投与)の2剤よりも投与回数が少なくてすむ。また、デバイスも患者が使いやすいオートインジェクターとする予定(既存薬はペン型)。投与方法の簡便さで、差別化を図る考えだ。欧米では、ロシュが8本のフェーズ3を、日本ではフェーズ2を実施中。
一方、CSG-452は、糸球体でろ過された血液中のグルコースが尿細管で再吸収される際に働くナトリウム依存性グルコース輸送担体(SGLT)のうち、輸送能力が大きいSGLT2の働きを選択的に妨げる。体重減少効果や血圧降下作用などが期待できる。さらに、持続的な高血糖が引き起こす糖尿病の発症と進行の悪循環を断ち切ることが期待できるという。現在、日本を含めたフェーズ2の国際共同治験を実施中で、10年中にもフェーズ3への移行を決定する。