後発注射薬市場が注目を集めている。ワイスとの統合を機に大規模な事業戦略再構築を行っているファイザーは、今年末までに25~30品目、来年は13品目の後発注射薬を市場に投入し、最終的にはこの分野で100品目以上のラインナップを目指す計画だ。
後発注射薬は、一般に経口薬よりも利益率が高いと言われているが、製造技術などのハードルが高いこともあり、参入企業は多くない。実際、03年1月~08年6月までに米FDAが後発注射薬の簡略化新薬申請(ANDA)に承認を与えた件数の49.1%が、この分野では主要なべドフォード、APP、テバ、ホスピラ、サンドの5社で占められている。また、IMSヘルスによると、2008年7月からの1年間の米後発注射薬市場は前年同期比11%増の54億7000万ドルで市場成長性も高い。
なかでも注目されているのが、03~08年のANDA承認件数の薬効群別割合35%でトップ、年間市場規模10億ドルの抗がん剤領域。2010年にはイーライ・リリーのジェムシタビン、サノフィ・アベンティスのタキソテールといった大型品の特許切れが控え、市場拡大が見込まれている。今年8月にはホスピラがサノフィ・アベンティスの大腸がん治療薬エロキサチンの後発品を発売したほか、サンドはオーストリアのEbewe Phramaから抗がん剤のジェネリック事業を9億2500万ユーロ(約1200億円)で買収するなど各社の動きも活発化している。
同時に各社が目を向けているのは、後発バイオ医薬品(バイオ後続品)。「10年から15年までの間に特許切れを迎えるバイオ医薬品の市場規模は470億ドル」(サンド最高経営責任者Jeff George氏)といわれ、技術力の高い大手企業にとっては魅力的な分野となっている。既にヨーロッパではバイオ後続品申請に関する規制が実現、アメリカでも法整備が進みつつあり、ファイザーも含め大手がしのぎを削ることになりそうだ。