あすか ARBブロプレスのジェネリック 先発企業の武田薬品の許諾受け発売へ
公開日時 2014/05/19 03:52
武田薬品とあすか製薬は5月16日、武田薬品のARBブロプレス(一般名:カンデサルタン)と原薬、添加物、製造方法が全く同じジェネリックをあすかが販売できる契約を同日付で締結したと発表した。これはオーソライズド・ジェネリック(AG)と呼称するもので、先発メーカーがお墨つきを与えたジェネリックとなる。あすかは今年2月に製品名「カンデサルタン『あすか』」として製造販売承認を取得し、6月の薬価追補収載の申請を行っている。薬価収載後は90日以内の発売が求められているため、収載されれば、9月までにブロプレスAGが上市されることになる。
ブロプレスは年内に物質特許が満了し、12月頃のジェネリック参入が見込まれている。このためブロプレスのAGであるカンデサルタン『あすか』は、競合ジェネリックよりも3か月~6か月早く市場投入できる。あすかは「製品ラインナップ拡大とプレゼンス向上につながる」とコメントしている。
◎ジェネリックの市場ニーズに応えるため
武田薬品がブロプレスのAGをあすかに許諾した理由は、▽現在の市場環境ではジェネリックに一定の社会ニーズがある▽品質、安定供給、情報の提供・収集といったニーズを十分満たすジェネリックが提供される必要がある――の大きく2点で、市場ニーズに応えるための取り組みとしている。なお、武田薬品は引き続き、ブロプレスの安全性評価を中心とする情報活動を行う。
武田薬品はあすか株式の7.7%を保有する筆頭株主(13年9月30日現在)。また武田薬品は、あすかの全製品を仕入れて特約店に販売している。武田MRはあすか製品の情報活動は行わない。今回のカンデサルタン『あすか』も同様のスキームにのせるが、結果的に武田薬品はブロプレスのシェアをカンデサルタン『あすか』に奪われても、一定の収益は確保できる。この点について武田薬品は本誌に、「武田薬品自身がジェネリック市場に参入するわけではないが、今回の契約はジェネリックのニーズに応える取り組みと理解いただきたい」(広報部)とし、収益確保が主目的ではないと説明した。
武田薬品の13年度の国内医療用医薬品売上は約5800億円で、このうちあすかや千寿製薬などからの仕入品売上は約1600億円を占める。