ロシュ・ダイアグノスティックスは５月９日、体外診断用医薬品「ベンタナ ultraView パスウェーHER2（4B5）」について、５月１日からHER2低発現乳がん患者を対象とした抗HER2ADC・エンハーツの適応判定を補助する検査として保険適用されたと発表した。今回の適用により、過去にHER2検査（HER2 IHC法）を行った患者に対しても、エンハーツ投与を目的として再度検査をする場合、別に１回まで算定することができる。

「ベンタナ ultraView パスウェーHER2（4B5）」は、がん組織または細胞中に発現するHER2タンパクを検出する体外診断用医薬品。免疫組織化学染色（IHC）法を測定原理とし、ベンタナベンチマークシリーズの自動免疫染色装置を用いて染色を行う。2023年３月３日付で、HER2低発現乳がん患者を対象としたエンハーツのコンパニオン診断薬として承認されている。

エンハーツは３月27日付で、「化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳がん」の追加効能を取得した。HER2低発現乳がんは、IHCスコア2+/ISH陰性、またはIHCスコア1+を指す。HER2低発現乳がんは、乳がん患者全体の約半数が該当するとされ、新規の患者カテゴリーとなる。なお、これまでは、HER2陽性乳がんはIHC法でスコア3+、またはIHCスコア2＋/ISH陽性を指し、これ以外はHER2陰性と分類していた。