中外製薬 HER2陽性転移・再発乳がん治療薬「T-DM1」を日本で承認申請
公開日時 2013/01/30 04:02
中外製薬は1月29日、抗体医薬で乳がん治療薬として使用されているトラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)に化学療法剤であるエムタンシンを結合させた「T-DM1」(トラスツズマブエムタンシン遺伝子組換え)を、転移・再発乳がん治療薬として日本で承認申請したと発表した。同剤は、がん細胞の表面にあって増殖に関与している受容体HER2を標的にしたHER2陽性患者向けの薬剤で、同陽性患者は乳がん患者の約2割という。トラスツズマブによってHER2からの増殖シグナルを阻害するとともに、エムタンシンをがん細胞の内部に送達させ、がん細胞を破壊する作用を持つ。
申請は、海外フェーズ3(EMILIA試験)と国内フェーズ2の治験成績に基づき行われたもの。EMILIA試験は、初期治療としてトラスツズマブ、タキサン系薬剤を含む化学療法を受けた後に病勢進行が認められた、HER2 陽性の切除不能な局所進行または転移性乳がん患者を対象に、T-DM1単独療法と、ラパチニブとカペシタビンの併用療法とを比較した(日本不参加)。その結果、無増悪生存期間(PFS)は併用群の6.4カ月に対しT-DM1 群は9.6 カ月と、有意に3.2 カ月延長した。