「もっと知ってほしい 肺がんのこと」 患者・家族向け冊子作成
公開日時 2012/07/09 04:00
NPO法人キャンサーネットジャパン、日本イーライリリー、毎日放送はこのほど、肺がんやその標準治療などの情報をまとめた冊子「もっと知ってほしい 肺がんのこと」を、がん診療連携拠点病院397施設やがん患者相談窓口などに配布すると発表した。この冊子は近畿大医学部内科学腫瘍内科部門の中川和彦教授が監修したもので、肺がん患者や家族などの支援者が知っておきたいことを20ページにまとめている。
冊子では肺がんそのものから、検査や確定診断までの流れ、手術、放射線療法、薬物療法、維持治療、新薬/開発中の医薬品などの情報のほか、患者の体験談も盛り込んでいる。
キャンサーネットジャパン理事の川上祥子氏は、肺がんは治りにくいがんのひとつといわれるため、強いショックを受けている患者や家族がいるかもしれないとした上で、「ここ数年、肺がん分野では効果の高い治療薬が次々登場した。さらに分子標的薬も開発されたことで、肺がん治療は遺伝子レベル、組織型レベルで治療が行えるようになり、『個別化治療』に向かっている。自らが納得して治療を受けられるようにこの冊子を活用してもらい、肺がんに立ち向かっていく勇気をもっていただければと思う」とコメントした。
日本の肺がん死亡者数は高齢化に伴って急増している。2010年の人口動態統計によるがん死亡データによると、肺がん死亡数は全がん死(35万3499人)の約20%(6万9813人)を占め、男性では全がん死(21万1435人)の中で最も多い(5万395人)。女性は男性に比べて少ないものの、それでも1万9418人が死亡している。