サノフィ・アベンティスとジェンザイムの買収交渉 決着に道筋?
公開日時 2011/01/12 04:00
仏サノフィ・アベンティス(SA)と米ジェンザイムの買収交渉に新たな動きがみえてきた。両社は、若干ニュアンスの相違はありながらも、多発性硬化症(MS)治療薬Lemtrada(アレムツズマブ)の価値をベースとして双方の代理人が代表者を交え買収交渉を行っていると相次いで発表した。アレムツズマブは現在、Campathの製品名で白血病治療薬として販売されている。株主に対する不確定価額受領権(CVR)は、一定の基準(マイルストーン、売上目標など)を設定、被買収会社が一定の製品などで業績を向上、その基準を上回った場合、株主に対して追加的な支払い(利益還元)を行う。今回の場合、アレムツズマブがMS治療薬として承認され、一定の目標に達すると株主に一定の支払いが保証されることになる。
SAは、1月9日の声明で、同剤が承認された際のマイルストーンおよび売上などをベースにCVRの価値について協議していることを明らかにし、CVRの基礎となるアレムツズマブの評価や買収価格に大きな開きがあることを指摘、合意に至る保証はないとしている。
一方、ジェンザイムは、一日遅い10日の声明で、両社の交渉は続行されているとし、協議の中心は買収条件になっていると説明、企業価値についての相互の見解の相違を解消する一環としてアレムツズマブのCVRについても協議していると発表した。しかし、ジェンザイムも同協議が継続するか、結果的に買収となるか保証はないと断っている。
◎米メディアは様々な憶測報じる
2社の声明を受け、米メディアは、証券アナリストらの様々な憶測を報じている。 アレムツズマブのMS治療薬の売上(ピーク時)については、ジェンザイムでは、30億~35億ドルを見込んでいるのに対して、SAでは、7億ドルと大きな開きがあり、これが買収価格の開きになっていると見ている。
しかし、ブルームバーグ通信によると、投資銀行Raymond JamesのEric Le Berrigaud氏は、「事態は進捗しているので、SAの株式の購入を勧めたい」と話し、「両社ともこの買収が必要。(SAのテンダーオファー期限の)1月21日までに合意する可能性がある」と見ている。CVRによる支払は1株当たり5~6ドルの価値があり、SAがそれを交渉しているのは、交渉をまとめようという意思があるとの理由からの見解のようだ。CVRの決着がついてから、具体的な買収価格の交渉にあたるとの見方も出ている。SAは1株当たり69ドルをオファー、ジェンザイムは80ドル程度を望んでいたと報じられていた。ロイター通信は、「この格差を埋めるための手段としてアレムツズマブについてのCVRを両社が協議している」と報じている。
◎両社のCEOが揃って13日に講演 発言が注目
SAのChris Viehbacher CEOとジェンザイムのHenri Termeer CEOは、1月13日にサンフランシスコでのJPモルガン主催のヘルスケア会議で講演を行う予定だが、そこでの発言が注目される。しかし、両CEOがそこで会談するかは未定という。