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ファイザー ダニ媒介性脳炎予防ワクチン・タイコバックを発売 初回免疫は3回接種

公開日時 2024/09/17 04:50
ファイザーは9月13日、ダニ媒介性脳炎の発症を予防する国内初の承認ワクチンであるタイコバック水性懸濁筋注0.5mL、同小児水性懸濁筋注0.25mL(一般名:組織培養不活化ダニ媒介性脳炎ワクチン)を発売した。ダニ媒介性脳炎(TBE)リスク地域でレクリエーション(キャンプ、ハイキングなど)や仕事(林業、農業など)といった野外活動でマダニに咬まれるリスクがある人に本ワクチンの接種が推奨されている。

本ワクチンは、3回の接種を行う初回免疫と、必要に応じて接種を行う追加免疫の場合で接種スケジュールが異なる。▽TBE流行国への渡航が予定され通常の接種スケジュールでは間に合わない場合、▽北海道などTBEが報告されている地域に在住し、マダニ活動シーズン前までに十分な接種期間がない場合――など、短期間での免疫賦与が必要な場合には「迅速接種」が認められている。初回免疫1回目の接種のみではTBEの発症予防を期待できないため、迅速接種を行うなどして、2回目接種を完了する必要がある。

初回免疫は通常、1回目接種の1~3カ月後に2回目接種を行い、2回目接種の5~12カ月後に3回目接種を行う。迅速接種では1回目接種の2週間後に2回目接種を行い、2回目接種の5~12カ月後に3回目接種を行う。追加免疫は必要に応じて3回目接種の3年後に、以降は1~60歳までは5年ごと、60歳以上では3年ごとに追加免疫を行う。

本ワクチンは欧米を中心に広く承認されている。日本では、厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性が高いと評価され、同省がファイザーに開発要請を行った経緯がある。

同社の藤本陽子取締役執行役員ワクチン部門長は、「日本国内のダニ媒介性脳炎は感染後に重篤な転帰をたどる疾患だが、有効な治療法がなく、タイコバックによる予防が重要な役割を担うと捉えている」とし、「タイコバックを必要とする方々に確実にお届けできるよう、安定供給、医療従事者への適正使用情報の提供、疾患啓発に取り組み、継続して予防医療の推進に努めていく」とコメントした。

ダニ媒介性脳炎は、ダニ媒介性脳炎ウイルスを保有するマダニに刺咬されることで感染する疾患。急性ダニ媒介性脳炎の経過や長期的転帰は、感染したダニ媒介性脳炎ウイルスの亜型により異なる。日本では北海道で極東亜型ウイルスが分布していると報告されており、感染すると徐々に頭痛、発熱、悪心、嘔吐等の髄膜炎症状が現れ、脳脊髄炎等を発症すると、精神錯乱、昏睡、痙攣、麻痺等の中枢神経症状を呈す。極東亜型の致死率は20%以上。生存者の30~40%に神経学的後遺症がみられるなど、最も重篤な経過をたどると報告されている。
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