エクサウィザーズ・生成AI利用実態調査 業務浸透更に高まる データ連携(RAG)活用が前提の時代に
公開日時 2024/06/11 04:52
エクサウィザーズは6月10日、「生成AIの利用実態調査」の結果を公表した。個人の業務における生成AIの活用レベルは、「日常的に使用」が35.8%で過去最高値を更新。昨年末の同社調査に比べて4.3ポイント増加した。生成AIの利用実態は、「社内データ連携(RAG)」がトップで、社内での生成AI利用率が高い企業ほどRAG活用への関心が高いことも分かった。生成AIの活用を定着化させるための方策については、社内データ連携が最も重視されており、次いで「効果や生産性の可視化」や「事務局による研修や活用促進施策」が求められていた。
調査は同社が5月27日、29日に開催した生成AIセミナーへの参加者を対象に行ったもの。製薬企業など医薬ヘルスケア系企業(約5%)を含む302社402人から回答を得た。なお、この調査は23年4月から継続的に実施しており、昨年12月の第3回調査に続き、今回で4回目となる。
◎生成AIの利用状況「日常的に使用」との回答35.8% 前回調査比4.3ポイント増
生成AIの利用状況については、「日常的に使用」との回答が35.8%(前回調査比4.3ポイント増)、「時々使用」が41.0%(1.3ポイント増)、「試しに使用」が19.3%(2.1ポイント減)、「関心がある」が5.7%(3.7ポイント減)、「関心なし」は0.2%(0.1ポイント増)となり、業務利用の割合は回答上位2項目で全体の76.8%を占めた。逆に、「試しに使用」以下の項目の割合が減少していることから、「生成AIの登場から1年で早くも成熟期の様相」になったと分析している。
◎生成AI導入部署 「全社的に導入」54.9% 前回調査比20.7ポイント増と急拡大
生成AI技術をすでに導入している対象部門については。「全社的に導入」が54.9%(前回調査比20.7ポイント増)と急拡大していた。一方で、「対象部門を決めて導入」は22.4%(1.5ポイント減)、「希望者のみ導入」は22.7%(19.2ポイント減)となっている。導入形態については、「法人向けのソリューションを利用」が37.7%で拡大傾向にあった。
生成AIの活用促進にあたり取り組んでいることとしては、「プロンプトの共有」が29.4%で前回調査に比べて5.9ポイント増となった。さらに、社内のほぼ全員が生成AIを利用する企業では、プロンプトの共有が全体の52.6%(前回調査比9.4ポイント増)となっていることが分かった。
◎生成AIはRAGの活用が前提の時代に移行
部署や組織で生成AIの活用を定着化するための方策について回答を求めたところ、社内データ連携(RAG:Retrieval Augmented Generation)が最も重視されていた。RAGを使った生成AIの活用高度化についての検討や取り組みを聞いたところ、「既に取組済みで生産性向上や定着化が進んでいる」との回答が4.0%、「既に取組済みだが定着化はこれから」が13.4%、「現在検討中(検討・開発中)」が30.8%で、全体の5割が「社内データ連携」に生成AIを活用しようとしていることが分かった。
調査を実施したエクサウィザーズは、「生成AIの“日常的に使用”が増加しており、社内組織でRAGの活用にもつながっていることから、生成AIはRAGの活用が前提の時代に移行したことがうかがえた」と分析した。