岸田首相 医療、介護、福祉分野の「物価高対策、賃上げは重要な課題」総合経済対策で必要な対応検討へ
公開日時 2023/11/02 04:52
岸田文雄首相は11月1日の参院予算委員会で、「現下の物価高騰の状況、さらには他分野等での賃上げの状況を考えると、医療・介護・福祉分野における物価高騰対策、そして賃上げは重要な課題である」と強調した。その上で、総合経済対策において、「エネルギー激変緩和措置を初めとする支援策に加えて、重点支援地方交付金の追加など、入院時の食費の支援、賃上げへの対応も含めて必要な対策を検討していきたい」と改めて意欲を示した。谷合正明氏(公明)への答弁。
谷合氏は、「医療、介護、福祉分野は、年末の報酬改定(トリプル改定)も視野に入れつつ、食料費、光熱水費の高騰の対応や賃上げのための必要な対応を今回の経済対策と補正予算案に手当するべきだ」と述べ、岸田首相に答弁を求めた。
◎年末のトリプル改定に向けた議論「必要な処遇の水準の検討も行っていく」岸田首相
これに対し岸田首相は、「年末に向けた診療報酬、介護報酬、障害者福祉サービス等報酬の同時改定(トリプル改定)に向けた議論が行われる。同時改定でも必要な処遇改善の水準の検討も行っていく。あわせて数字だけでなく、現場の方々の処遇改善にしっかりつながる仕組みの構築も重要な課題だと考えている」と応じる姿勢を示した。
◎長期収載品の自己負担、OTC類似薬の保険給付外しで政府見解求める
参院予算委員会では長期収載品の自己負担について音喜多駿氏(維新)が政府側の見解を質した。具体的には、市販薬が潤沢にある医療用医薬品の保険適用を外すよう求める内容。音喜多氏は、湿布、鎮痛剤、花粉症治療薬、保湿剤などを例示し、「こうしたものはドラッグストアで買えるものだ」と指摘。「こうしたことの積み重ねが過剰給付、つまり現役世代の負担に直結しており、この点は今すぐ見直しに着手すべきではないか」と、厚労相に答弁を求めた。
◎武見厚労相 「社保審医療保険部会で検討が始まったところ。年末に向け議論進める」
武見敬三厚労相は、「薬剤自己負担の見直しとして考えられる項目について社会保障審議会医療保険部会で検討が始まったところ」と説明。「OTC類似薬の保険給付のあり方の見直しを含めて議論を行ったところ。その際、市販品の有無で保険給付の取り扱いが変わる課題などが指摘された。こうした点も含めて年末にかけて議論を進めていく」と答弁した。
音喜多氏は、「業界団体からいろんな抵抗もあるようですけれども、ぜひ前に進めていただきたいと思う」と強調した。