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国際医療福祉大・鈴木学長 「メタバース医療・福祉・教育研究会」を紹介 産官学で議論し政策提案も

公開日時 2023/02/03 04:50
国際医療福祉大学の鈴木康裕学長(元厚労省医務技監)は2月2日、ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット(JHVS)2022シンポジウムにパネリストとして登壇し、自身が代表理事を務める「メタバース医療・福祉・教育研究会」(Metaverse We-B Lab)の取り組みを紹介した。同研究会の設立は22年7月。メタバースやXR等の最新技術を用いて医療、福祉、教育の課題解決を議論し、応用することを目的に発足した。鈴木学長は、関係省庁、アカデミア、産業の方々に参画頂き、シーズ探しやパートナー選びなどに活用して欲しいと強調。さらに、今後メタバースを実装する際のルール作りを視野に、研究会の提案などで貢献したいと意欲を示した。

◎メタバースのユースケースも多様化 メンタル、フィジカル、ラーニング

「メタバースのユースケースは3つある」-、鈴木学長は強調する。一つめは“メンタル”だ。とくに認知症や発達障害への可能性に言及した。2つめは“フィジカル”。「痛み」への対応やリハビリテーションなどに使用するユースケースがいくとも報告されているという。そして3つめが“ラーニング(学習)”だ。鈴木学長は、「例えば生涯学習への活用」と述べ、「学校に行きづらい発達障害の児童がアバター等を使って学習することはできる」と例示。さらに、「学会をメタバース空間でやる。病院の先生方も忙しい。であれば遠くの学会会場に行かなくとも、(メタバース上の)仮想空間で集会を開催することが可能かなと思っている」と述べた。

「大事なことは病院内バリア、地理的なバリア、感染を恐れてのバリア、あとは自分自身が移動できないバリアなどを超えるもの」-、これらを可能とするものとして、メタバースの価値を見出すことの意義について鈴木学長は熱く語った。

◎実現のポイント、一つはスピード、2つめは省力化、そして最後は個別化

ブロックチェーンやデジタルツインなどの観点で、「例えば仮想空間上で病気が悪化した場合はこうなるというところだけを追うだけでシングルアームの治験が簡便にできる可能性もある」と鈴木学長は強調する。さらに「自分の健康データを一定の価値のあるものとして企業に有償で提供することもあり得る」と述べた、こうした概念を実現するためのポイントにも言及。「一つはスピード」と述べ、「治験をするにしてもデータを集めるにしてもデジタルでスピードが速まればそれだけ他国より先に医薬品を開発し、売ることができ、コストも安くできる」と強調。「二つ目は省力化だ」と強調。「特に医師の場合は働き方改革ということもあり効率化もこれによって可能になってコスト下がる」との見方を示した。

鈴木学長はまた、「最後は個別化ということだと思う」と述べ、「高血圧の原因とか、その人の持っている身体的、遺伝子的特徴に応じて薬の作用とか投与間隔とか時間を変えていくこともできるのではないか。そのためにデジタルというツールがないといけない。今までのやり方ではできない」と述べ、メタバースを含めて医療DXを推進する意義を主張した。
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